昭和二十五年 最後の戦死者

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  • サイズ B6判/ページ数 268p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784093798549
  • NDC分類 221.07
  • Cコード C0095

出版社内容情報

朝鮮戦争に「参戦」した日本人たちの真実

1950年6月に北朝鮮による韓国への侵攻で勃発した朝鮮戦争――北朝鮮軍が敷設した機雷を除去するため、朝鮮半島沖に出動した日本人がいた。当時、海上保安庁に所属の「日本特別掃海隊」。旧海軍軍人を中心とする約1200人の掃海隊員によって掃海作業は進められ、47隻の船舶が出港した。

戦時下にある朝鮮水域での掃海作業は戦闘行為に当たり、日本が掃海部隊を派遣することは憲法に抵触する。しかし、主権回復前であった日本としては、米国の要請を断ることは難しい――そうした背景のもと掃海隊は時の首相、吉田茂によって、いわば隠密に組織された「秘密の部隊」だった。

掃海作業では、掃海艇の一隻が機雷に接触して沈没、死者1人、18人が負傷。しかし、そうした被害にもかかわらず、日本特別掃海隊の存在は長らく秘され、派遣された隊員たちの「生の声」はなかなか表に出ることはなかった。

朝鮮戦争の休戦協定が締結されてから60年の節目となった今年。著者は、高齢者となった元隊員の生の声をできるだけ多く掬うなかで、自分たちに課せられた任務を誠実に遂行しようとする責任感に溢れた姿と、仲間同士の固い絆を発見していく。

内容説明

半世紀前、朝鮮戦争に「参戦」した日本特別掃海隊の語られざる航跡を辿る。第二〇回小学館ノンフィクション大賞優秀賞受賞。

目次

第1章 米国の誤算で
第2章 見切り発車
第3章 機雷の海へ
第4章 日本艇轟沈す
第5章 苦闘は続く
第6章 沈黙の英雄

著者等紹介

城内康伸[シロウチヤスノブ]
1962年、京都市生まれ。早稲田大学法学部卒。87年、中日新聞入社。東京新聞(中日新聞東京本社)社会部で警視庁、警察庁を担当。ソウル支局長、北京特派員などを経て、再びソウル支局長に。2011年11月帰国。現在外報部次長(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

hideto

8
朝鮮戦争の際、日本人の戦死者が出たことはうっすらとだけ知っていましたが、どういう経緯だったのかはわからず。そんな記憶が頭の片隅にあったせいか、タイトルを見て惹かれました。憲法で戦争放棄を謳っていたにも関わらず、朝鮮戦争勃発後、朝鮮半島の機雷の掃海作業へ派遣されることとなった方々への取材を元にしたノンフィクション。国家間の思惑により、憲法、法律をも拡大解釈してしまうのは、もうこの頃から始まっているのかと思うとともに、派遣された方々の命がけの作業に頭が下がります。埋もれた歴史を掘り起こす、貴重な一冊です。2021/10/07

ばなな

4
朝鮮戦争。掃海隊。極秘。日本国憲法・・・戦争。これで、日本が戦争参加だったら世界各国から指摘を受ける。米国の指示で極秘活動。まあ、この参加がプラスでもマイナスでも言われ指摘はされる。チョット読みづらかったかな。2014/03/14

風が造る景色

4
1950年の朝鮮戦争時、上陸反攻の前に北が敷設した4千の機雷が大きな障害となった。 米国は掃海隊を自国に帰国させており、韓国海軍は掃海経験なし。熟練の海上保安庁に米軍の要請が来る。慌ただしい出港、そして触雷し沈没。迫力ある描写にぐいぐいと引き込まれました。特に、遂に戦死者を出してしまった日本艇3隻が、命令無視で処分を覚悟しながら日本に引き揚げる場面は圧巻。 その後も頼りにされ続け秘密裏に作業を続ける保安庁。結局、何に貢献できたのか、できなかったのか。考えさせられる作品でした。2014/01/20

nota

2
二〇一三年一二月九日初版第一刷 1950年10月、海上保安庁大久保長官に米極東海軍司令部参謀副長アーレイ・バークより朝鮮半島における機雷除去の要請あり。 日本は戦争放棄を憲法にうたっており、戦争中の海域において機雷掃討を行うのはあきらかな戦闘行為である。 報告を受けた吉田首相は「やらんわけにはいかん」と答え、海保掃海艇が派遣されることになった。 掃海任務中に機雷接触によって死者が出たが、「参戦」していないがゆえに戦死としては扱われず、靖国に入ることも認められなかったと。 最後に泣かされた。2024/08/27

konaka

2
3/52014/05/30

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