内容説明
従軍経験を持ち、サンドイッチ店の創業者として成功を収めた忠一郎と、終戦の翌年に生まれた新聞記者の異母弟・良也。世代も価値観も違い、まったく別の人生を歩んできた二人だが、ともに若い頃に愛した人の幻影を追い続け、またかつての戦争にこだわり続けていた。忠一郎は弱肉強食の企業戦争と自身の従軍体験を重ね合わせて精神的に疲弊していき、良也は昔の恋人・茜が失踪してしまったのは、茜の父の戦争体験が関係していたことを知る―。実業家でもある著者らしく、戦後の経済成長や、企業間の争いを交えつつ、戦中・戦後派が引きずる戦争の暗い影を描いた大作の完結編。
著者等紹介
辻井喬[ツジイタカシ]
1927年(昭和2年)3月30日‐2013年(平成25年)11月25日、享年86。東京都出身。本名・堤清二。実業家として活躍する一方で詩人・小説家としても旺盛な活動を行い、1994年『虹の岬』で第30回谷崎潤一郎賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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