出版社内容情報
愛と憎悪、複雑な人間の感情を描く感動巨編
ジェルミへの愛を伝えたイアンと、イアンを愛していると言いながらも、彼の思いを拒絶するジェルミ。イアンは再びジェルミにグレッグとの関係を語らせるが、マージョリーの自殺未遂により出口すら見えなくなってゆく。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
毒兎真暗ミサ【副長】
28
ドーバーでイアンに自分の気持ちを吐露したジェルミ。リン・フォレストの森で過去の虐待を目撃していたナターシャの懺悔を受け入れ成長していく。そんな中、愛が解らないと嘆くイアン。「愛とは相手の歓びと苦しみを知ることなのです」リンドンの調合はまさに絶妙。友人エリックのワルキューレの謎を解明するジェルミだが、彼を支配したくてイアンの中で闘いが始まる。「愛するとは?」という自問自答。悪霊グレッグが手を拱く様は更に混乱を招くだけ……。行雲流水気づかぬまま、読者が俯瞰した【神】となる。葛藤の第八巻!2023/04/27
そらねこ
22
ジェルミと一緒に落下していくイアン。ジェルミの母親(サンドラ)はやはり彼にとっては鬼門だ。イアンも母親が幼少期に自殺して寂しさを抱えており、ジェルミもサンドラがグレッグの行いを黙認していた=自分を愛していなかった…というトラウマ。母親への愛を裏切られ、愛してるとサディストに暴力を振るわれ、ジェルミの心は壊れてしまっても仕方がない。グレッグとサンドラに囚われるジェルミの中へ躊躇なく入り込み、愛を語りかけるイアンが愛しい。ジェルミの心に近づいたと思ったら離れ、離れたと思ったら近づく。諦めないで欲しいと願う。2017/01/28
阿部義彦
15
マージョリーは自殺で、植物人間に、そしてエリックとジェルミはとうとう出会い、バレンタインと会う事になる。この漫画は、時間軸は単純に古い過去から新しい時間へと直線的に辿っているだけなのにこんなにも複雑な人間関係を盛り込める流石物語の人萩尾さんです。2015/10/03
赤とんぼ
12
写真を見せるイアンの無神経さにイライラする。無理に傷口をこじあけて、壊れてしまうことだってあるのに。 愛していれば許されるのか? よくわからない。 強制された性は、本当に残酷だ。愛の名のもとに、単なるいたずらの言い訳のもとに、何度も殺される。何故、性を強制された者が、自分自身を汚れたと思い、醜いと思い、腐っていると思い、自尊心を破壊しつくされなければならないのか。「やめて」との訴えを、性を強制するものにも、自分を見捨て生贄に差し出したものにも、自分自身の身体にまで裏切られた、その上で。 2018/05/12
さとまみ(コミックス&BL小説専用)
8
カウセリングを受けている感じになってきた。イアンとジェルミの会話が痛いけど、お互いの事実を付き合わせることって大事なんだなあと思える。幸せな結末を迎えられるといいなぁ。2016/07/14
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