内容説明
現実と虚構の危険な戯れ―。小説家はここまで背徳的になれるのか?妻のある男と、夫のある女が、隠れ家のベッドで延々と交わす背徳の会話。いかがわしくも倫理的な作家・ロスの魅力を凝縮した作品。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ja^2
2
章立てもなければ、ストーリーもない。延々と続く女性たちとの一対一の会話。いわゆる地の文がないから(叙述も描写も全くないのだ)、会話の主が誰で、誰とどういう関係にあるのかも判然としない。▼おそらく作者は、創作のネタとなる日常のメモ書きをそのまま本にしたのだろう。残念ながら、私はこれを面白いとは思えなかった。他人の意味脈絡のない会話──しかもそのほとんどがピロートークとなれば、馬鹿馬鹿しくて読んでられない。▼確かに創作とは、現実の会話の断片との間を行き来する作業なのだろうけれど。2017/03/05
MOTO
2
フィリップ・ロスは本当に面白い。ロスの作品ではほぼ必ず人種問題の話題が出てくるのだけれど、毎回全く退屈せずに読めるのがすごい。男女の性を巡る話題もクンデラ並みに面白い。会話だけで書かれているので誰と誰が話をしているのかイマイチわからないところが少し読みづらいかな。2014/12/15
theぼう
1
ニコルソン・ベイカーの「もしもし」みたいな話かと思ったらぜんぜん違った。ユダヤ人でいることの面倒くささとか、考え方とか、大変そうだ。これはたぶん空想の場面だが、主人公が書いたものが猥褻だとかの理由で裁判にかけられているときに、女検事に向かってセクハラを始めるのが馬鹿馬鹿しくて良い。2016/10/26
勉誠出版営業部
1
フィリップ・ロスの『いつわり』を読了。99%が会話文で進行する物語。最初は同じ男女の会話かと思いきや、実は女性は入れ替わっていることに気づくと、それまでに読んできた会話もタイトルどおり偽りに満ちたものではないかと思い始め・・・。2014/02/10
nakatta
0
ほぼ会話文という構成の小説。特定の相手に向けて喋る会話文の文体が、ときに異様なる叙事性、現前性を生むことがあるのではないか、ということを考えた。2013/12/08