内容説明
異常生物が徘徊する腐敗する都市、そこは、広告が支配する驚愕の未来だった。黄金時代のSFの香気がただようファンタスティックなシーナ・ワールド。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
佐島楓
18
人類が希少種になり、奇妙な生物とアンドロイドが跋扈する世界。マサルと菊丸の兄弟は、父を探し求める旅に出る。荒廃した世界で、サバイバルを繰り返す兄弟と、へんてことしかいいようのないキャラクターが山ほど出てきて、そのコントラストが面白くも不気味。宣伝というモチーフがたくさん出てくるあたりは、現代社会への風刺も思わせる。ある事実から、将来こんな世界にならないとも限らないとも感じてしまう、不条理な、でもある種リアルなSFだった。2013/12/29
ぽち
11
年末の書店でパラパラ眺めたSFマガジンのディストピア小説特集ではガン無視されていたようなのだけど、これはその古典、というにはまだ少し早いかもしれないけど、殿堂入りはさせてあげたい名作で、個人的にも大好きで死ぬ時に人生の何冊か、には入れたい作品です。救いもなにもないような荒廃した土地を旅する兄弟と好漢たるアンドロイドといっしょに奇怪で凶悪な(半)生物が蠢く世界に身を浸す楽しさ。子どものころ、友だちと秘密基地を探して走り回っていた気分を思い出させてくれるような。何年か、何十年ぶりかの再読。2017/01/17
林 一歩
6
椎名SF三部作を一気読み。古き良き時代のSFなんですよ、これらは。逆に言えば古臭い。それをよしとするか否かで評価はガラリと変わるのだろう。奇天烈な印象が薄まったのは何故なんだろう???2012/05/06
きつね
3
私の好きなSFがここには詰まっていた2014/05/14
こくしまん
3
古きよきSF黄金時代を彷彿とさせるシーナワールド。あっと驚くようなストーリーでもないし、登場する異形のものも別に目新しさは感じない。つまり古臭い。でも、全体を通してほんのりと漂う「不思議な世界」の温かさの素敵なこと!癒されます。2011/06/15