出版社内容情報
アキコさんの趣味は手紙を書くこと。料理、裁縫、映画、イヤな男、「お勝手」の話題を毒気たっぷりに認める著者真骨頂の書簡小説。
金井ファン待望、痛快痛烈な最新小説
アキコさんの趣味は手紙を書くこと。料理、裁縫、映画、イヤな男、「お勝手」の話題を毒気たっぷりに認める著者真骨頂の書簡小説。
内容説明
優雅なる脱線、冴えわたる悪口。趣味は手紙を書くこと。「手紙の吸血鬼」と化したアキコさんがお勝手の話題を書きに書きまくった手紙、その数50通。名手の文章が存分に味わえる、贅沢な書簡体小説。待望の長篇。金井美恵子ならではの小説的企みや、映画や小説の話題も満載。絵葉書2点の豪華付録付き!
著者等紹介
金井美恵子[カナイミエコ]
1947年、高崎市生まれ。小説家。67年、「愛の生活」でデビュー。68年、現代詩手帖賞受賞。小説、エッセイ、評論など幅広い執筆活動で知られる。著書に、『プラトン的恋愛』(泉鏡花文学賞受賞)、『タマや』(女流文学賞受賞)など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Willie the Wildcat
62
日常の気づきを、非日常とするかのような手紙綴り。回想と老いで描く時間の流れ。最後の手紙に込められた思い。延々続く少々陰湿な”空気”が玉に瑕も、時代を反映した文芸評も興味深い。加えて、著者の遊び心を感じる様々な言葉。カラス爪、手すさび・・・、オチは、扇大臣の”文字”。(笑)表題も一考の価値あり。弓道における右手が語源の「勝手」。武家故に下女たちの戦場とすれば、本著の陰の主役は、頻繁に登場する家政婦さんたちだったりして?!2017/10/01
おかむら
30
著者初読み。なんか難しそうかと思って敬遠してた。が、面白かったー。手紙魔アキコさんの手紙小説集。このアキコおばあさんがまあ性格悪いことよ。毒舌吐く吐く。お友達も怒らせる怒らせる。おハイソなインテリばあさんなので映画とか文学とか高尚な話題んとこはよくわかんなかったけど、かなーりイケズだわ。オカシイわ。村上春樹のこと、ここまで言って許されるのはアキコさんだけでは。でもスカッとするわ。ラストもびっくり。そうだったのかー。2015/01/12
松風
25
彼女の悪口は、既存の権威や通念に寄りかからないから、さわやかなのだろう。アンチ意識高い系。でも隠しきれないお育ちの良さと教養と優しさ。2015/11/14
sasa-kuma
19
手紙好きで毒舌な60代女性アキコさんの手紙が延々に続く小説。返事の手紙はないのだけれど、アキコさんの手紙が饒舌なので返事の内容もわかっちゃうのね。手紙の中でアキコさんはまったく悪気はないのだろうけれど(ちょっとはあるのか?)、相手は腹立つだろうなと思える表現がしばしば。そこがこの本の面白さであるのですが、手紙を書く自分に照らし合わせると冷や汗が。だってね、手紙って手元を離れてしまったらフォローのしようがないものね。投函する前にみっちり見直さないとね。年齢を重ねた女性たちの友情の在り方が鮮やか。2015/02/16
fwhd8325
17
とても面白く読みました。子供の頃、大人が集まる場所で、大人たちが好き勝手に話をしていて、その内容は全くわからないのだけど、何だかとてもおかしく感じていたことがあったのだけど、そこにいた大人たち。それがアキコさん。アキコさんのような大人。決して嫌みたらしくなく、勝手なこと言っているけれど、そこに裏付けがあるから、妙な説得力も感じさせてくれる。毒気も愛敬。2015/01/15