出版社内容情報
白血病で療養する父の持物の中にみつけた、小さな青い蝶がとめられた標本箱。それは昭和20年8月に突然断ち切られた、淡く切ない恋物語を記憶する品だった。圧倒的な筆力が賞賛された感動のデビュー作。第26回小説すばる新人賞受賞作
内容説明
急性骨髄性白血病で自宅療養することになった亮輔は、中学生のときに被爆していた。大日本帝国陸軍偵察機パイロットのひとり息子であった彼は、当時、広島市内に住んでいたのだ。妻と娘は、亮輔が大事にしている仏壇で、異様に古びた標本箱を発見する。そこには、前翅の一部が欠けた小さな青い蝶がピンでとめられていた。妻も娘も知らなかったが、それは昭和20年8月に突然断ち切られた、切なくも美しい恋物語を記憶する大切な品だった―。第26回小説すばる新人賞受賞作。
著者等紹介
周防柳[スオウヤナギ]
1964年東京都生まれ。早稲田大学第一文学部卒業後、編集者・ライターに。「八月の青い蝶」(「翅と虫ピン」改題)で第26回小説すばる新人賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
おしゃべりメガネ
200
集英社さん『ナツイチ』企画からの作品で、初読み作家さんでした。う~ん、ちょっと期待値が大きすぎたかなぁ。いい作品なのは間違いないと思うのですが、自分が読んだタイミングが良くなかったのか、どうもリズムに乗れず、グっと胸にこないままの流れで読了してしまいました。時は終戦直前、原爆投下前の広島を舞台に描かれる淡い恋物語なのですが、恋愛の描写と原爆投下直後の描写のアンバランス具合が極端過ぎて、まるっきり別の作品を読んでいるかのような錯覚に。淡く切ない恋愛模様をもっと前面に出してくれてもよかったのかしれませんね。2016/07/10
さつき
77
急性骨髄性白血病で末期を迎えようとしている亮輔。高度経済成長に乗ってがむしゃらに働き、穏やかな晩年を過ごしていた彼の少年時代の淡い初恋と原爆による衝撃的な体験。戦後、抜け殻のようになった軍人の父。悲しいとか辛いとか単純な言葉では言い尽くせない複雑な思いに飲み込まれ涙が止まらなかった。2022/12/26
ゆみねこ
73
周防さん、初読み。2010年8月、白血病で余命宣告をされた父の持ち物の小さな青い蝶の標本。時を遡り1945年8月の父の切ない思い出。交互に綴られる文章の美しさに圧倒されました。この本は多くの人に読んで欲しいと思います。中学生以上なら読破出来ると思いますね。お勧め本。2015/04/26
ゆきち
66
広島に落ちた原爆が、少年の淡い初恋を奪った。読み終わって、平和な世の中で、好きな相手と好きだよと言いあえることの小さな幸せがどんなに幸せなことであるのかを感じて、心が苦しくなった。いろんな思いが溢れて、ここに書こうとしては消し、消しては書き、とこの本のこと戦争のことたくさん考えたけど、でも、どの言葉も違う気がしてどんな感想を述べていいのかわからなくなった。ただただいつまでも平和であってほしいと願うばかり。2017/08/20
chantal(シャンタール)
60
感想を書くのは難しい。戦争反対!原爆反対!とそれを経験した事のない人が尤もらしく声高に叫ぶのは、実際に経験した人には偽善に見えるかもしれない。昨今の震災についても同じような事が言えるかも。立場が違えば感じ方も違ってくる。でも、もうあの戦争を経験した人がどんどんいなくなって、この先どうしたら平和を維持していく事ができるのか?語り継いで行くしか、風化させないようにするしかないのではなかろうか。それとは別に、淡い初恋と言えば聞こえはいいが、あの関係はちょっと。思わず「キッショ!」と思ってしまう。相手12歳だよ?2024/06/17




