内容説明
1991年10月末、アメリカ、カナダの大西洋岸北部を襲った今世紀最大の「パーフェクトストーム」。運良く難を逃れた船もあったが、海の藻屑と消えた船もあった。ボストン近郊のメカジキはえ縄漁船、アンドレア・ゲイル号に焦点を当て、他の漁船の動向、日本人ヨットマンの遭難、沿岸警備隊、空軍レスキュー隊などの決死の救助活動や、この暴風雨のメカニズムまでを究明した迫真のノンフィクション。
目次
ジョージズバンク一八九六年
マサチューセッツ州グロスター一九九一年
神の恵みの豊かな国
フレミッシュ・キャップ
巻揚機のハンドル
大西洋の墓場
復元偶力零点
生者の世界
地獄へ
死者の夢
著者等紹介
ユンガー,セバスチャン[ユンガー,セバスチャン][Junger,Sebastian]
1962年ボストン生まれ。コネチカット州ウェスリェン大学で文化人類学を学ぶ。雑誌への寄稿、ラジオ局の従軍記者など様々の経験を経て“危険な職業”に興味を抱く。アイダホ州の森林消防隊員のルポを「メンズ・ジャーナル」に寄稿。以後、「アウトサイド」「アメリカン・ヘリテッジ」誌上でフリージャーナリストとして活躍。新進のノンフィクション・ライター
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感想・レビュー
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うたまる
1
「暴風がやってくるぞ、おい、猛烈なやつが」(沈没前のアンドレア・ゲイル号最後の通信)……1991年に北アメリカ東岸部を襲った今世紀最大の巨大暴風の記録。1991年といえば僅か30年前だ。それなのにまるで木造船時代の遭難と同じような無力感に囚われてしまう。レーダー、エンジン、鋼材などの近代科学をもってしても所詮気象や海洋の摂理には歯が立たない。未だ尻尾を巻いて逃げるのが最善手のようだ。さて本書随一の読み処は、編集部による最後の追加取材。アメリカ人の阿鼻叫喚の後では、さすが災害大国の国民だと微苦笑してしまう。2021/11/09
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