内容説明
寒暖計を見る。たった零下30度だ。すばらしい日和。太陽さえ覗いている。―極北の地の強制収容所で10年の刑期を終えたエヴゲーニヤ・ギンズブルグは、愛する人のもとに急ぐ。しかし、彼女を待ちうけていたのは、さらなる苦難にすぎなかった。スターリン独裁下のソ連。無実の罪でシベリアに送られたインテリ女性が、命ぎりぎりの生活を綴って、みごとな人間賛歌をうたいあげる感動のドキュメント。
目次
1 火の鳥のしっぽ
2 またもや競売
3 黄金なすわが都
4 気高い仕事
5 一時警護を解かれた者
6 旦那の怒りと、旦那の愛と
7 「人前で泣かないで…」
8 カルタの家
9 アルファベット順
10 ワシコフ館
11 地震のあと
12 思想戦線の七匹の子やぎ
13 ごきぶり大将
14 やがてお昼だ
15 ラジオはバッハの音楽
16 古典を学ぶ保安将校
17 夜明け前
18 犯罪要因欠如により
19 エピローグ