内容説明
ベルリン留学中の若いエリート・太田豊太郎は、街で出合った美しい踊り子・エリスの危機を救った。やがてふたりは魅かれ合い、豊太郎は友人の中傷により免官となる。いったんは栄誉を捨て、エリスとの愛を貫こうと決意するが…鴎外自身の体験をもとにした表題作ほか『普請中』、『妄想』、『雁』を収録。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
奥澤啓
66
鷗外「舞姫」草稿、跡見学園女子大が4644万円で購入の報道。「跡見学園女子大は28日、文豪・森鷗外(1862~1922)の第一作で教科書などで広く知られる小説「舞姫」の自筆草稿を取得したと発表した。原本には流通している複製があり、現行の本文との異同は既に知られているが、毛筆の筆致から当時の鷗外の心情を推し量るなど、近代文学資料として第一級の価値があるとしている。同大は今秋にも文京区立森鷗外記念館で公開する」(「時事ドットコム」、2015年4月28日より)2015/05/31
ちくわ
34
久しぶりに鴎外を読む。悲しき異国の恋の物語…主人公は鴎外自身との説も。ただ鴎外はチンチクリンなので、比較的大きなドイツ人の中で本当にモテたのか?と訝しんじゃったのは内緒だ。感想…設定等にベタな感もあるが、共感が多く非常に面白かった。ちなみに、この手の話は一般的な『あるあるネタ』だと思っている。うちの会社でも海外単身赴任者はほぼ全員現地で愛人を作っている。えっ!?あの真面目な〇〇さんが!みたいな人まで。本当、男って一人で生きるには血が熱過ぎるのかね?ただ、どの赴任者もハッピーエンドにはなってないんだよな…。2025/05/02
いろは
26
『舞姫』『普請中』『妄想』『雁』からなる4部作。「私、森鴎外苦手なんですよねぇ。」と本格的に口にするその前に、代表作を読もうと思い、この作品を手に取った。哲学と文学の融合。哲学がちょこっと好きな私は、森鴎外の作品のそんなところがお気に入りなのだけど、やはり、文体が読みにくい。しかし、『舞姫』以外は現代的な文体だから、読みやすかった。解説は、「日本の近代文学には、漱石型と鴎外型という分類があるようだ。」という文章から始まり、最初の方は漱石と鴎外の比較が見受けられるが、私は漱石型が好きだと確信できて良かった。2017/12/27
frosty
26
教科書に全文載ってたからそれを読んだ。前に森鴎外の高瀬舟を読んだことがあるのだけれど、結構楽しめたから、今回も期待していたのだけれど、ちょっと読み進むのが苦痛だったかも……豊太郎さんは好きになれないかも。相沢さんの方に賛成かな。でももう少し違うやり方があったんじゃないかなぁ? 人を憎むのは勝手だけど、全ての責任を他者のせいにして、他人にその責任を押し付けてしまうのなら、私は、その人に他者を憎む権利はないと思う。2015/08/05
貴
25
「美しき、いぢらしき姿」言葉がとても、美しく切ない。2022/12/19