内容説明
蜂がうなり、鳩が鳴きかわすけだるい夏の昼下がり。ウッダムの村の「赤い館」で奇怪な殺人事件が発生!たまたま館を訪れた優雅なる“フリーター”、アントニー・ギリンガム氏は、急遽、探偵稼業を選択する。理想的なワトソン役にも恵まれたギリンガム氏の推理の腕前はいかに―?!『クマのプーさん』の作者が、生涯ただ一冊書いた長編本格ミステリー。極上の英国的ユーモアに満ちた愛すべき名作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Yu。
21
主要人物は探偵役とその助手役、そして容疑者の三人だけというシンプルさで、本格推理というより倒叙劇を愉しむユーモア溢れる黄金時代のミステリ。。あの金田一耕助のモデルというのも納得のいく朗らかでいて鋭い観察眼を持つ探偵 アントニー・ギリンガムは好感が持ててイイね‥ それでも 頼りないけど頼れるノリノリのワトソン ビル・ビヴァリーはもっと好きかも(( *´艸`))2017/12/08
ソルト佐藤
10
殺人事件のはずなのにどこかほのぼのとした展開。これはプーさんの力か(笑 田舎屋敷の殺人。多士済々の怪しい客たち。普通? と、思ったら、途中で客はみんな帰ってしまい、容疑者ほとんどいない(笑 若干一名にほぼ固定。倒叙物みたい。ただ、探偵の動き方は面白い。昔ながら大事なことを隠していくタイプではなく、その都度の情報で推理を組み立てて相棒に披露する。相棒もお間抜けなタイプでもなく、よいコンビ。この二人のシリーズが見たかったな。2019/11/03
べる
6
古きよき時代の英国ミステリ。殺人事件の割に緊迫感はあまりないが、ミステリとしてはなかなか良く出来ていると思う。トリックは非常にオーソドックスだが、見抜けなかった。アントニーとビルの会話も軽妙で楽しい。クマのプーさんの作者がこんな真っ当な本格ミステリを書いていたとは驚かされた。2010/10/12
マーロウ
5
素人探偵アントニーとワトソン役のビルが良い。親しみが持てる。 とても読みやすいライトなミステリーだが、トリックや論理は結構しっかりしており面白い。 横溝正史が大好きだった作品らしい。確かに、「本陣殺人事件」に金田一耕助をアントニー・ギリンガム君と表する描写があったことを後書きを呼んで思い出した。横溝正史も本当はこんなミステリーが書きたかったのかな。2018/10/14
クロモリ
5
探偵がもったいぶって推理を伏せたりせず、定期的に推理を明らかにしてくれる点が好感を持てました。風通しの良いミステリー。鍵の推理などは、数学のパズルの解法を見るような明快さ。歯医者に注目するのも時代を先駆けていますね。人物描写も生き生きしています。ただ、ホームズはあそこまでワトソンをこき使わないと思いますが。(笑)乱歩の十選の中でもっとも爽快な読みごこちでした。十選の中で私の中では第3位。2012/07/09