内容説明
アメリカで運を使い果たしたおれを拾ってくれたのは、シケた中年ボクサー・ムーニー。彼に突然ラスベガスでの試合の話が持ちこまれる。なぜ?相手はキラーと呼ばれる29戦全KO勝ちの若いハード・パンチャー。この「合法的殺人」を企む黒幕は?男を賭けたリング。驚くべき真相が…。銃撃と流血。そしてロッキー山中で凄絶な最後の聖戦が操り拡げられる…。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
drago @秋の高校野球応援中。
31
20代半ばにして人生の運を使い果たした日本人「ラッキー」と、37歳うだつの上がらない白人ボクサー・ムーニーとその家族・ダイアン、ビリー、マギーの物語。 ◆シアトル、ラスベガスでのキラー・ジョーとのボクシング対戦、アイダホ、カナダ「長槍の家」へと続くロード・ノベル。 ◆一行の絶体絶命の危機を救う長身の黒人、JJことランディ・バトラーがとにかく格好いい。 ◆そして、壮絶なラスト。バトラーとコーミットが、宿敵を倒すために仕掛けた罠…。 ◆789頁は疲れたけど、やはり船戸与一のハードボイルドは一級品。 ☆☆☆☆2021/05/15
Katsuto Yoshinaga
2
ブラックパンサーの闘士に「80年代は最低だ。誰もが健康のことしか考えていない。ジョギングと禁煙、ライトビールだけの時代だ。それで百歳まで生き延びたから何だというんだ?」と、大船戸の時代に対する憤懣を語らせている。本作の主要人物は、船戸作品の定番である流れ者の日本人とプアホワイトの4人家族。彼らが、ボクシング小説と言える前半、サンディニスタ、イラン・コントラ、ブラックパンサー、ウェザーマンの叛史が語られる後半を駆け抜けるロードノベルであり、傑作「夜のオデッセイア」に連なる作品である。(コメントに続く)2016/11/27
Yoichi Taguchi
2
20年以上前に読んだ本の再読。船戸氏の作品で北米を舞台にした物は少ないと思うが、『炎流れる彼方』は合衆国・カナダが舞台で、しかも前半はボクシングが話題、いきなり紛争地帯で始まらないところも珍しい。この意味では、他の作品と背景そのものを異にしている。それでも、最後は船戸ワールドらしく大部分が死んでしまうが、かってダイナマイト・クイーンと異名をとった女性活動家ヘレンが育てた子供達に希望が残される。ランディー・バトラーの過去・現在から未来に向かう橋を掛けろという言葉が印象的。今年亡くなった船戸氏に合掌!2015/07/25
神山信行
1
800頁近くあったのに後半はシナリオ疲れか 一気に急展開で悪の親玉との全面戦争勃発。 しかもお母ちゃんまでプロ並みとは。。。 ちょっと強引に感じました。 主人公の描写も軽めだったのでそこまで移入できず。 前に読んだのが合田雄一郎だったからそう感じたのか?2020/02/18
msm
1
ボクサー一家の心暖まるハートウォーミングストーリーだったので今回はお約束のラストではないのでは?むしろ今回ばかりはお約束のラストは勘弁してくれと思ったが、試合が終わったらストーリーはお約束のラストに向かって突き進んでいった。さすが船戸先生ぶれないな~ページを捲る手が止まりませんでしたよ。2015/09/04