内容説明
激動の予兆をはらむ江戸・文化年間、越前の船頭・伝兵衛は謎の武士・野比秀磨を乗せ蝦夷地へと櫓を漕ぐ。そこに待っていたのは測量家の間宮林蔵。彼らの行ったロシア艦との秘密交渉は、徳川幕府とそれに対抗する朝廷・水戸・島津の連合勢力との抗争の口火となった―壮大な北の海にひろがる男たちの野望。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ehirano1
65
蝦夷地に水戸藩をもう一つ創るろうとする野望について。倫理的に論外なのはもちろんのこと、地政学的にも考慮が成されているとは思えませんね。2018/09/08
ehirano1
63
どこまで本当なのかは分かりませんが、蛇を大人しくさせる(麻痺させる?)方法が興味深かったです。2018/02/02
ehirano1
62
ハードボイルド歴史小説-間宮林蔵編-といったところでしょうか。革命家武士、探検家兼隠密、商人、元海賊が入り乱れています。一体どのような話になっていくのでしょうか。下巻が楽しみです。2017/10/21
まーみーよー
15
北方氏の作品は「三国志」以来でした。蝦夷地に夢を抱いた男たちの野望を描く作品。この作品での間宮林蔵は測量家の側面よりもハードボイルドなスパイの側面が強いかな。高田屋嘉兵衛は悪役ほどではないが蝦夷の貿易を牛耳っているちょい悪役だったりする。蝦夷地に夢を託した信平を林蔵が傍らで見守る。次巻へ。2020/07/07
眠る山猫屋
15
再読。ゴールデンカムイを読んだので、復習。実在の間宮林蔵を主人公に、国を憂う男たちの物語。林蔵を利用しようと群がる男たちが沢山出てくるが、友となるもの、敵となる者、北の大地を舞台にギリギリの境界線上の闘いが続く。水戸藩士の信平や船乗り伝兵衛の純粋さに比べ、野比が重い使命に縛られているようで哀れ。それぞれがすこしづつ違う夢を抱いているから、一直線には進まないし、瓦解も早そう。それでも美しい夢に賭ける男たちの夢に魅せられた林蔵の危うさ。北の極致での生存力の描き方は、のちの史記に継承されたのかな。2016/05/13