内容説明
作家の寒川は、文学賞の選考結果を編集者と待っていた。「賞をもらうために小説を書いているわけじゃない」と格好をつけながら、内心は賞が欲しくて欲しくてたまらない。一方、編集者は「受賞を信じている」と熱弁しながら、心の中で無理だなとつぶやく。そして遂に電話が鳴って―。文学賞をめぐる人間模様を皮肉たっぷりに描いた「もうひとつの助走」をはじめ、黒い笑いに満ちた傑作が満載の短編集。
著者等紹介
東野圭吾[ヒガシノケイゴ]
1958年大阪市生まれ。大阪府立大学電気工学科卒業。85年『放課後』で第31回江戸川乱歩賞、99年『秘密』で第52回日本推理作家協会賞、2006年『容疑者Xの献身』で第134回直木賞と第6回本格ミステリ大賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
633
東野圭吾の他の作品とは幾分趣きの違った短篇集。13作を収録。いずれもタイトル通りに、シニカルな苦笑いが残る小説。出来が悪いとは思わないが、やや片手間に書いたという印象が残らないでもない。少なくても、精魂込めて書いたのでないことは確か。さらには、東野の作品らしさが必ずしも出ておらず、この作家ならではといった特徴にも欠けるか。また、全体の1/3近くになる4作品が売れない作家を描いており、売れっ子の東野圭吾が語ると、それらは韜晦ではなく、大いに嫌みに聞こえ、なんだか後味の悪さが残らないでもない。2022/03/10
Tetchy
500
連作短編である冒頭の4作品では出版界の内幕が繰り広げられ、出版社の担当者の思惑や新人賞を受賞し、作家専業となった人間たちの過ちを滑稽に描いており、これからも出版社とのお付き合いをしていかなければならないのに果たしてこんなことを書いていいのだろうかと笑いながらも心配してしまうほど、露骨に描いている。まあ、これが他の作家が書かないであろうことまで書いてくれる東野氏の思い切りの良さで、作家生命なんのそのと云わんばかりの冒険をしてまで笑いに徹する姿勢を買いたい。しかしワンアイデアをよくもここまで膨らませるよなぁ。2014/03/09
馨
411
難しい系では全然なく、ブラックジョークが満載の短編集。他に、同種類の作品が2つあるみたいです。朝昼晩暇さえあれば読んでました。全作品、面白かったです!人間の醜い部分とかも全部含めて、ユーモアたっぷりに描いててやっぱり東野さんの作品って、ひと味もふた味も違うなと思いました。
Kircheis
406
★★★★☆ ブラックユーモアの短編集の第3段。 何気に今までのシリーズで一番好き(≧∀≦) 出版界の内幕を描いた前半4作が最高におもしろい。 あと『インポグラ』てネーミングセンスがすご∑(゚Д゚)2019/03/31
射手座の天使あきちゃん
357
圭吾さん確かにこれ「黒笑(ブラックジョーク)」ですね しかもご本人を含めた作家先生を大いにネタにするとは度胸がいいですね(笑) 文学賞選考発表待ちの関係者の雰囲気などは、流石は直木賞落選5回(6回目で受賞)の貫禄と拍手したくなりました。 お得意の本格ミステリーやサイエンスミステリーも良いですが息抜きにこんなのももっと書いてくださいませ。 <(^_^;2022/04/30