出版社内容情報
弱冠二十歳で独立、相談屋と将棋会所を開いた型破りな若者・信吾を描く青春時代小説シリーズ第3弾。実家の料理屋が倒産の危機? 依頼主に裏切られる? そりゃないよ、の全4編。(解説・末國善己)
内容説明
宮戸屋で食あたりが出たってよ!そりゃ大変だ、さすがの老舗もおしまいか?ところであそこの長男は、まだ相談屋だか将棋会所だかをやってるのかい?そっちは繁盛してる?しかし、二十歳で独立して、順風満帆とはいかないだろう―。型破りな生き方を通してきた信吾に、今回ばかりは「そりゃないよ」と言いたくなるピンチが。斬新な設定で話題の青春時代小説シリーズ、目が離せぬ第三巻。
著者等紹介
野口卓[ノグチタク]
1944年徳島県生まれ。立命館大学文学部中退。93年、一人芝居「風の民」で第三回菊池寛ドラマ賞を受賞。2011年、『軍鶏侍』で時代小説デビュー。同作で歴史時代作家クラブ新人賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ゴンゾウ@新潮部
100
シリーズ3作目。20歳にしてこの働き。信吾の老練さに驚く。そしてそれはないなと言う話。安定したおもしろさ。【ナツイチ 2019】2019/08/30
海猫
92
シリーズ第3弾。奇妙な面白さは健在で、楽しく読めた。文庫書き下ろしの時代小説はあれこれ読んでいるけど、このシリーズの面白さは独特。剣戟があって敵を倒すわけどもないし、捕物帳的に事件をスッパリ解決もしない。痛快!というタイプではないけれど、不思議な魅力がある。主人公・信吾のおおらかな人格と、妙な設定やお話の興味深さで、読まされた。収録の4編どれも楽しかったけれど、特に「縁かいな」「隣はなにを」が好みだったかな。「縁かいな」は面白い実話を聞かせてほしがる男の話で謎めいてるし、信吾の駆け引きもあって楽しかった。2021/12/01
真理そら
51
宮戸屋の長男・信吾は家を出てよろず相談屋兼将棋会所「駒形」を営んでいる。『縁かいな』は狐と狸の化かしあいのお話だけれど飄々としていて楽しめた。できればもう少し黒介(猫)に登場して欲しかった気もする。『隣はなにを』は思いがけない方向に進んでほろ苦さの残る結末。2019/06/26
ち~
33
シリーズ3冊目。【人を呪わば】実家の宮戸屋で食中毒!?その真相は…権六親分、大活躍!【縁かいな】「他人には話さないので、相談された面白い話を教えて欲しい」と謎の人物に頼まれて、捻り出した解決策。私だったらブチ切れる。【常に初心に】厳哲和尚を訪ねた信吾。つらつらと語り合ううち、今までもらった数々の教えを思い出す。この2人の間柄がとても良い。【隣はなにを】1度も話した事のない、気難しそうなお隣の老人が、将棋会所の子供がうるさいと苦情を言いに来たキッカケで交流が始まろうとした矢先に…ちょっとホロ苦い話だった。2020/01/22
らび
31
「隣は何を」のご隠居さん、もっと早くお付き合いが始まっていたら信吾がお手伝いできたかもと思うと残念です。どこかで元気にしていたらいいな。2019/08/28