内容説明
浜名湖畔の料亭「花ずみ」の跡取りと結婚した通子。名女将と評判の姑が亡くなりまもなく一年になる日、通子は夫の旬平の指示で一人の女と会う。女は通子に言った―「ご主人をいただきにきました」。とりだした離婚届には、すでに旬平の署名が。この日から、平凡な主婦だった通子の日常は一変、妻の座と店の運命を賭けた闘いが始まった。愛に商売に体当たりする女の生き様を描く、柴田錬三郎賞受賞作。
著者等紹介
連城三紀彦[レンジョウミキヒコ]
1948年愛知県生まれ。77年『変調二人羽織』が幻影城新人賞に入選。81年『戻り川心中』で日本推理作家協会賞短編賞、84年『宵待草夜情』で吉川英治文学新人賞、同年『恋文』で直木賞を受賞。96年『隠れ菊』で柴田錬三郎賞を受賞。恋愛小説、ミステリの名手であり、著書多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
アッシュ姉
76
「ご主人をいただきにきました」女が差し出した離婚届には、すでに夫の署名があった。料亭の跡取りと結婚し、普通の主婦として十七年過ごしてきた日常は一変、妻の座と店の運命を賭けた闘いが始まった。展開は目まぐるしく早いのに心情は丹念に追われており、ドロドロの大人の愛憎劇を存分に堪能できる。連城さんの鋭い観察眼か女子力の高さか、男性が描いたとは思えぬ女の内面はとてもリアルだか、これほどまでに強く逞しい女性はなかなかいないので、こちらは理想や願望が垣間見えるか。火花散る女の闘いとともに料亭再建の行方を楽しみに下巻へ。2017/05/09
スミレ
28
初読みの作家さん。以前から興味がありいくつか積んでますが、初めて読んだのがこの作品です。 ミステリー作家だと思っていたので、ミステリー要素はなく男女間の愛憎劇のようなストーリーだったことに少し呆気に取られました。 しかし、読み進めるうちに引き込まれました。 嫁、夫、愛人、亡くなった姑。それぞれが心の底に抱えている思いが分かると、それぞれに共感でき涙を誘うシーンもありました。 主人公通子を初めとする登場人物たちの行く末が気になります。2017/01/04
なるみ(旧Narumi)
22
BSプレミアムで観月ありささん主演でドラマ化されたものを全話観終わってからの、連城さん初読み。主人公通子と娘の関係がより丁寧に原作では描かれていて、通子といろんな意味でのライバル多衣、その他多くの人達との人間関係が下巻でどう集約されるのかを楽しみに、上巻を読み終えました。http://www.nhk.or.jp/pd/kakuregiku/ 下巻へgo‼︎2016/12/14
KAZOO
14
筆者が亡くなられてから徐々に読みなおしている作品の一つですが、柴田錬三郎賞を受賞された作品です。女性の心模様を描いていて本当はドロドロした感じのものになると思うのですが、それを感じさせずに読ませてしまう手管は筆者独特の感性だと感じています。ドラマに向いている作品ですね。2014/03/15
HiroshiKzk
12
なるほど確かに昼ドラ感ありです。いざ下巻!2019/07/06