出版社内容情報
名作復活!時は元禄15年師走。両国の吉良邸に討ち入った赤穂浪士47人。しかし、襲撃に参加しなかった藩士たちにもドラマが…。厳密な考証に裏打ちされた奔放な想像力で描く傑作歴史小説。(解説/関川夏央) 第20回吉川英治文学賞受賞作
内容説明
元禄15(1702)年12月14日夜。赤穂浪士47名が両国の吉良邸に討入りを果たした。この事件はその後300年あまり、日本的な忠義の規範として語り継がれることとなった。しかし、旧赤穂藩士の中にはこの討入りの「義挙」に参加しなかった人々もいた。彼らはなぜ吉良邸に行かなかったのか?厳密な歴史考証と豊かな想像力で「忠臣蔵」を問い直す歴史小説の傑作。第20回吉川英治文学賞受賞作。
著者等紹介
井上ひさし[イノウエヒサシ]
1934年11月16日山形県生まれ。上智大学卒。72年『手鎖心中』で第67回直木賞、81年『吉里吉里人』で第2回日本SF大賞と第33回読売文学賞、86年『不忠臣蔵』『腹鼓記』で第20回吉川英治文学賞、91年『シャンハイムーン』で第27回谷崎潤一郎賞を受賞。小説と戯曲でめざましい活躍をする。2010年4月9日没(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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breguet4194q
101
吉川英治文学賞受賞作。それなりに忠臣蔵を学んだ人には大変面白い一冊だと思います。四十七士に名を連ねていない浪士が、どの様な思いだったか。小説ですが、巻末の年表を見ると、史実に基づいて書かれたことがよくわかります。討ち入りに参加しなかった代表格の高田郡兵衛は有名過ぎて掲載されてません。討ち入りに参加できなかった者にも、其なりの理由や考え方があることがよくわかりました。決して討ち入りに参加できた者だけが忠義ではないと。著者ならではの視点が非常に面白かったです。2024/12/29
けぴ
37
先日、国立文楽劇場で『仮名手本忠臣蔵』を観てきました。その繋がりで本書を読む。通常、討ち入りを果たした赤穂浪士47名に脚光が当たるが、本書は討ち入りできなかった19名の物語。討ち入りメンバーでありながらひょんなことから脱落したり、第一陣が失敗したときの為の第二陣になったりとさまざまな事情が描かれる。オススメは敵を欺く役目を果たす『毛利小平太』です。 2025/01/27
金吾
35
討ち入りに参加しなかった赤穂浪人たちの話です。構成が面白ろく、また所々の事情も成る程と思える話でした。私の知っている高田郡兵衛や大野九郎兵衛がないのも幅広さを感じました。年表がまた良かったです。2023/05/19
いさらこ
19
これは面白い。吉良邸へ討ち入らなかった元藩士達を【不『忠臣蔵』】としているが、【『不忠』臣蔵】とは限らない。語り手は元藩士だったり、回りの人達だったりするが、一人又は複数の人物の言葉で話が進むところは、一人芝居の様で情景が目に浮かぶ。元藩士としては不忠臣蔵の方が多いのだけれど、マイノリティになってしまった人達の話は興味深かった。 とても面白いし、読んでほしい本だけど、基本的な『忠臣蔵』を知らないと面白くないかもしれない。2015/01/07
ブラックジャケット
13
刃傷事件直後、赤穂城の大広間には多くの家臣が集まり大評定となるが、議論百出でまとまらない。穏健派、強硬派と分かれ、半減した藩士が大石に運命を託する連判状に血判する。それでも一人減り、二人減り、最終的には吉良邸討ち入りの四十七士になった。本書はその義挙に参加しなかった 家臣たちの物語。連作短編集といっていい作りで、水面下の不忠なる家臣たちの苦衷の物語を綴る。着想の良さが光る。それぞれ血の通った赤穂浪人たちの運命の軌跡はユーモラスなものからシリアスなもの、さらには奇想天外なものまで、 著者の懐の深さを示す。 2019/06/30
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