出版社内容情報
父の跡を継ぎ代々伝わる不思議な十手を手に、目明しになった少女・みく。病気の母の診療にきた医者がわけありで……? 伝奇時代小説。
内容説明
人形浄瑠璃の所作指南を引き受けた目明し修業中のみく。その台本が歌舞伎と奪い合いになり、役者のひとりが死体で見つかる。まるで、人形に噛み殺されたかのような状態で…。まさか人形の祟り!?はたまたスズメバチの毒による不審死が続発。事件の裏に医者が絡んでいることを知ったみくは、母を診断した守銭奴医者に目をつけるが―飴売り少女と十手笛に宿る精霊のコンビが大活躍する第2弾。
著者等紹介
田中啓文[タナカヒロフミ]
1962年大阪府生まれ。神戸大学卒業。93年「凶の剣士」で第2回ファンタジーロマン大賞佳作入選、ジャズミステリ短編「落下する緑」で「鮎川哲也の本格推理」に入選しデビュー。2002年「銀河帝国の弘法も筆の誤り」で第33回星雲賞日本短編部門、09年「渋い夢」で第62回日本推理作家協会賞短編部門、16年「怪獣ルクスビグラの足型を取った男」で第47回星雲賞日本短編部門を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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タイ子
77
シリーズ第2弾。大坂の中心地で亡き父親の後を継いで目明し修行中の女の子。若干15歳ながら副業は飴売りをしながら病身の母を養っている。今回も事件やら事件やら(事件しかない)2つのお話。人形浄瑠璃と歌舞伎の間で起こる台本の盗作騒ぎ。殺された役者の謎を追うみくとその仲間たち。田中さんの作品は笑いの中にちゃんとその時代の歴史が分る説明が入っていて笑いながら学べるのがいい。2話目はスズメバチに刺され急死した大店の主。ここで登場する一癖も二癖もある医者たちが面白い。仁術?算術?医者の矜持は?笛の中の精霊も大活躍。2024/01/08
アカツキ
11
十手笛おみく捕り物帖2作目。目明し見習のみくはひょんなことから新作の人形浄瑠璃の所作指南役をすることに。しかし、その新作台本が手違いで歌舞伎側に渡ってしまったことから浄瑠璃側と歌舞伎側で大モメ。そんな時、歌舞伎の女形が楽屋で殺されているのが見つかって…。長編1作品と短編1作品収録。今作も面白かった。登場人物のコミカルなやりとりとほろ苦いところのあるストーリーが絶妙。順調に手下が集まっているけれど、なかなかの大所帯になってきてお小遣いが足りるのか心配になってくる。次巻も楽しみ。2024/05/13
小梅さん。
10
歌舞伎と人形浄瑠璃、あの争いは辛い。 真犯人とトリック、そうでなければいいと思っていたのだけどな、、、 それだけに、あいつが本当に許せない。 あんな奴さえいなければ。 2話目の、対照的な2人の医師。 スズメバチによる死? 江面の過去にあんなことがあったとは。 年齢故に侮られることもあるようだけど、おみくを見守ろうというあの心意気がいい。 笛から出てくるあのお方もなんだかんだでおみくの力になってくれる。 さて、彼らの今後はどうなっていくのだろう。 わくわくする。2024/02/21
げんなり
5
杉江松恋の解説が良い。こんな感じ、時代小説っぽい表紙だし、案外そういうところに置いてあるかもだけど、日頃そのジャンルを読まない人にこそ読んでもらいたい一作。って、僕も時代小説はほぼ読んだことがないので、あんまり説得力はない。 このシリーズは特にバラエティ豊かな人物たちがわんさかとしていて、実はまだまだ食い足りない感じすらある。黒い服の男たちの秘密をやらずに殺人事件ばかりを解決しているコナン君のようでもある。特にお酒好きな精霊キャラ、そのうちメインで場を仕切って欲しいのだ。 お母さんも実はミステリアス。2024/02/18
marevrev
2
年末に読み終わったんだけどドタバタして書き遅れ。 2巻目。中編2本。 歌舞伎浄瑠璃対決とスズメバチ殺人と医者色々。 やっぱり毎回手下が増えるw おみくの若さを爺さんズと母で補ってバランスがとれてるのがいいのかな。 危機の時に手下が駆けつけるのが毎回遅いけどもw 解説も褒めまくりだし、特集ページもできたようでいい感じにヒットしてほしい。2025/01/03