出版社内容情報
動物にも人間にも個々の文化と戦略がある。動物行動学者が世界で出会った不思議、暮らしの風景、人と自然との関係を綴るエッセイ集。
内容説明
小学生の頃「何してるの?」と虫に問いながら観察していた著者。昆虫学を志し、さらに動物学が目標となる。世界中へ研究に行くため、英語、独語、仏語、露語を猛勉強。やがて来日した学者の通訳が切っ掛けでフランス留学へ…。世界中で好奇心を満たしながら、動物にも人間にも個々の“文化”があり、生きるための戦略があると発見。動物行動学者が出会った不思議、人間と自然の関係を綴る名エッセイ。
目次
ぼくの諸国漫遊博覧記(マルクとフランスとスイス・フラン;フランス式フランス料理 ほか)
交遊抄―ボードワン先生とぼく(始まりはフランス語での講演通訳;生まれてはじめて飛行機に乗る ほか)
ぼくの博物誌(気だてのよいネコ、悪いネコ;ネコの幸せ ほか)
人間の文化、動物たちの文化(人間は偉くない;人間はどういう動物か? ほか)
著者等紹介
日〓敏隆[ヒダカトシタカ]
1930年東京生まれ。動物行動学者。東京大学理学部動物学科卒業。東京農工大学教授、京都大学教授、滋賀県立大学初代学長、総合地球環境学研究所初代所長を歴任。1976年『チョウはなぜ飛ぶか』で毎日出版文化賞受賞、2000年南方熊楠賞受賞、02年『春の数えかた』で日本エッセイスト・クラブ賞を受賞。08年瑞宝重光章受章。09年11月逝去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ぶち
93
著者の『ネコはどうしてわがままか』がたいへんに面白くて、この本も手に取りました。タイトルが表すように、世界各地で見聞きした事柄に関するエッセイ集です。著者が仕事、学会、研究などで訪れた各地で出会った自然、風景、暮らし、不思議な事柄などが軽妙に語られています。イギリスとフランスのサンドイッチの違い、海底に住む昆虫、各地の朝食の違い、ニワトリが走り回るバス、ソ連時代のモスクワでの悪夢のような空港待機...どれもちっちゃな事ですが、飾らない面白さがあります。奥様が描いているイラストもたいへん素晴らしいです。2023/09/19
優希
40
面白かったです。動物好きから世界中で好奇心を満たしているのが楽しそうでした。動物も人間も生きるための「文化」と「戦略」を持ち合わせているのですね。人間と自然の関係に目から鱗でした。2023/11/02
ヨノスケ
20
動物行動学者、日高敏隆さんの博物誌というより紀行文。フランスのボードワン博士に招待された初めての海外。その後いろいろな国の料理や習慣が動物や虫の生態とともに興味深く書かれていた。そして偶然にも今朝、明け方に「ひぐらし」の鳴き声を聞きながら本書を読んでいると、ひぐらしの鳴く時間に関することが書かれていて、臨場感がおもしろくて、驚きとともに「この本読んでよかったな」という気持ちになった。2023/08/16
you
10
書店で著者の名前を見かけ、懐かしく思いながら購入。動物学に関する部分は1/3で残りは紀行文。バックパックで旅行していた記憶と重なり懐かしさ倍増。しかし、一流の学者というものは、こんなにも、家族同伴で観光をしながら学会に行くものなのか。著者が小学生の時、昆虫学に進む後押しを強力にしてくれた先生がいたという。自分にもそんな人生観が変わるような出会いがこれからあるんだろうか。進化や生殖行動の捉え方など、短いエッセイから素人がどれほど理解できているかわからないが興味深い内容多数。2023/08/30
こけこ
4
楽しかった。読み易いし、絵も可愛い。自分も一緒に旅に行っているような気分だった。2023/10/11