出版社内容情報
壮大なシルクロードの旅へ飛び込んだ著者は、多様な歴史と文化が混交する新疆ウイグル自治区へ。傑作紀行エッセイ新装版第2弾!
内容説明
シルクロードを旅する一行は、広大な新疆ウイグル自治区へ。多様な歴史と精神文化を受け継ぐウイグルの人々の現実を見つめながら、旅は続いていく。灼熱のゴビ灘、竜巻、蜃気楼…酷暑と難路を乗り越えて、ついに悲願の地であるクチャに辿り着いた著者は、自らの使命と幸福を思う―。砂漠を吹きわたる熱い風と、人々の暮らしが今、鮮やかに蘇る。傑作紀行エッセイ、待望の新装版第二弾。
目次
第8章 あなたんは、わたしんのん、いのちんいんいんいん。
第9章 天山南路
第10章 時を超える音
第11章 河を渡って木立の中へ
第12章 死をポケットに入れて
第13章 生の学理的強奪
著者等紹介
宮本輝[ミヤモトテル]
1947年3月6日兵庫県生まれ。77年『泥の河』で第13回太宰治賞を受賞しデビュー。78年『螢川』で第78回芥川龍之介賞、87年『優駿』で第21回吉川英治文学賞を受賞。2004年『約束の冬』で第54回芸術選奨文部科学大臣賞文学部門を、09年『骸骨ビルの庭』で第13回司馬遼太郎賞を受賞。また同年、紫綬褒章を受章。19年「流転の海」シリーズが完結し、第60回毎日芸術賞を受賞。20年旭日小綬章を受章(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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KAZOO
94
宮本さんのシルクロードの旅の第2巻です。ここでは、火焔山近くのトルファンからカシュガル経由アルカンドまでの道のりが記されています。運転手が代わるものの、通訳やそのほかの5人全員は同じ道中です。この劣悪な環境でよく仲たがいしない気がします。輝さんと次男の親子喧嘩があると思いきやそんなにあまりギシギシはしません。さまざまな文学からの文章の引用や父親の思い出なども時たまあり飽きさせないで旅に連れて行ってくれています。2023/10/16
aika
39
「私はなんのために人間として生まれてきたのか。」羅什少年が仏の教えを求めて母と歩いた艱難の道は、死が平然とそこにあり、一瞬で去っていく世界。人々も街もどこか昭和20~30年代の日本と似た空気感をもつという新疆ウイグル自治区を駆け巡りながら、待ち望んだクチャの地を踏む一行の感動が荘厳さを以て伝わってきました。丸3日間何も飲んでいないという羊飼いの青年との出会いや、作家自身の血肉である井上靖や開高健、漢詩など名作の一節の数々が印象的です。シルクロードを舞台に繰り広げる宮本親子の壮大な父子ゲンカには笑いました。2023/05/18
もえ
22
新装文庫版の第2弾。西安から2887キロを経て新疆ウイグル自治区のトルファンへ。天山南路の道筋は砂漠の砂嵐と竜巻と蜃気楼ばかり。相変わらず食事とトイレ事情も悪い。過酷な行程を経て、鳩摩羅什の故郷であった亀茲国・クチャに辿り着き、作者は生かされた命の幸運と自分の使命に思いを馳せる。クチャからアクス、カシュガル、ヤルカンドへ。漢人とウイグル人との確執や、日本の昭和30年代を思わせる純朴なクチャの市井の人々、傍若無人な公安警察の態度など内陸の中国事情も伝わる。作者は意外にも大胆で時折やんちゃっぷりを発揮する。2023/07/07
都人
4
遂に「新疆ウイグル自治区」を離れ、中国を出る。ウイグル系の人々の穏やかや印象とは異なり、中国公安の人々の悪人顔がよほど印象に残ったらしい。2025/04/21
kiiseegen
3
講談社文庫版3、4巻を合本した新装版。トルファン到着からコルラ、クチャ、アクス、カシュガルを経て、一旦、南下しヤルカンド到着まで。次巻でこの紀行も終わる...。2023/01/25