出版社内容情報
その美しい容貌でひときわ華やかに目立つ文徳天皇の更衣・小野小町。謎多き“宮中の花"として、乱世を力強く生き抜いた女性を描く。
内容説明
仁明天皇の更衣として、宮中でもひときわ華やかで美しい女官、小野小町。その容貌から、多くの男性に言い寄られていた。小町を寵愛していると噂がたっていた仁明天皇は我が子を皇太子とした際、小町と在原業平に「皇太子を守ってほしい」と告げる。小町は業平と共に、権力を狙う藤原良房の野望に向かい立つ。謎多き“宮中の花”として振舞い、激動の時代を誇り高く生き抜いた女性を描く時代小説。
著者等紹介
篠綾子[シノアヤコ]
1971年埼玉県生まれ。2000年『春の夜の夢のごとく 新平家公達草紙』で第4回健友館文学賞を受賞し、デビュー。05年「虚空の花」で第12回九州さが大衆文学賞佳作、19年『青山に在り』で第1回日本歴史時代作家協会賞作品賞を受賞。「更紗屋おりん雛形帖」(17年第6回歴史時代作家クラブ賞シリーズ賞)など作品も多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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坂城 弥生
33
小野小町の話って初めて読んだかも。子供の頃伝記とかで読んだかな?春日局のは読んだことあるけど。2020/08/26
ゆずきゃらめる*平安時代とお花♪
28
美人といわれた小野小町を題にした宮中物語。三十六歌仙の一人。いつ聞いても「花の色は~」意味深です。人生のことを言っていたのか宮中のことなのかもしれない。承和の変という大変な時代に生きた人なんだと思わせてくれました。謎の人、小野小町の見かたは色々ですね。2021/05/01
紅香@新刊購入まで積読消化あと4冊⭐︎
24
『花の色は うつりにけりな いたづらに わが身世にふる ながめせしまに』この歌があるがために今でもひときわ秀でて光を放つ小野小町。その反面、この歌のために絶世の美女が晩年は…、とお決まりとなっているのが私は悲しいし、悔しい。。この歌がいつ、誰のためにどんな場面で詠んだのかで歌の意味も変わると気付かせてくれた一冊。芯を持って気品に満ち溢れ、だけれども一人の人間として逞しく生命をたぎらせた女性だったと思いたい。最後の返しの一句で一挙に救われた。小野小町も、うかばれると思う。2023/04/08
りー
23
今まで読んだ篠綾子さんの本の中で一番好きです。この本の小野小町は角田文衛さんの「小野小町の実像」説を踏まえて描かれており、思い出しながら読みました。時は、嵯峨帝の次、仁明帝の御世。「○○町」は、平安初期に更衣たち与えられた呼び名(「后町」=常寧殿に曹司を仕切ったことから)だそうです。六歌仙のうち、小町・吉岑宗貞=僧正遍昭・在原業平3人が揃い踏み。仁明帝と良房も加わって、仕事と恋と自らに禁じた想い…切ないお話でした。業平の明るさが救い。欲を言えば、小野家との関わりをもう少し書いてほしかったかも。2021/04/22
TAMA
17
惟嵩親王、小野小町、業平、僧遍照、藤原の一族。高田先生の七福神のうんぬんが思いだされる。ならった歴史に人の息遣いを付けてくれる小説はとても好き。そうだったかもしれない出来事。ここの小野小町は水商売の凄腕っぽい、いろんなしたいことやしたくないことを認め受け止め上手に調整して納得して日常へ戻っていく。百夜通いや女じゃない説もうまくてよかった。自分の役割に縛られてるなあとも思ったけれど、放り投げるのも後悔よね。2020/12/20