内容説明
地震や洪水、火災などの災害に遭遇した時、身をまもるために素早く行動できる人間は驚くほど少ない。現代人は安全に慣れてしまった結果、知らず知らずのうちに危険に対して鈍感になり、予期せぬ事態に対処できなくなっている。来るべき大地震のみならず、テロや未知の感染症など、新しい災害との遭遇も予想される今世紀。本書では災害時の人間心理に焦点をあて、危険な状況下でとるべき避難行動について詳述する。
目次
プロローグ 古い「災害観」からの脱却を目指して
第1章 災害と人間
第2章 災害被害を左右するもの
第3章 危険の予知と災害被害の相関
第4章 「パニック」という神話
第5章 生きのびるための条件
第6章 災害現場で働く善意の力
第7章 復活への道筋
エピローグ 「天」と「人為」の挟間に生きる人間として
著者等紹介
広瀬弘忠[ヒロセヒロタダ]
1942年東京生まれ。東京大学文学部心理学科卒業。東京女子大学文理学部教授。専門は災害心理学
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感想・レビュー
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M
52
多数での任務にすると全力を出さなくなる人間の心理。災害や緊急時も、大勢いると誰かが行動するだろうという意識が働く。たとえ目の前で犯罪が起きても誰かが通報するだろう助けるだろうと皆が思い、結果的に見殺しにしてしまう怖さ。災害時も正常性バイアスが働いて大したことではない、と思い込んでしまう怖ろしさ。緊急時にきちんとこれは緊急時だと思おうという意識づけをもらえる本。2019/05/15
小太郎
40
20年前の本ながら今でも十分に通ずる内容だと思います。災害に遭遇した時に身を守る行動が出来る人驚くほど少ない。そんな時どうしたらいいのかを過去の事例を挙げながら検証しています。災害と言っても色々あるし災害因と災害を分けて考えなければいけない。また災害、防災のもたらす費用対効果や効率的な再生事業など意外な面からのアプローチも読ませます。あと正常性バイアスの掛かり方、デマの拡散の見極め方などこの本を読んでおく意味は今でもあります。後書きでサーズでの対応を心配してましたがコロナでそれが実証されるとは★3.52023/11/09
ふろんた2.0
28
予期せぬ災害が起きても、すぐにパニック状態には陥らないどころか現代では鈍感になっている。災害において然るべき行動がすぐに取れるかどうかはわからないが、本書のことは気に留めておきたい。2015/10/08
Humbaba
21
災害においてパニックにならないように情報を控えめに伝える.しかし,それにより危機感を抱かせられず,逃げ遅れるということも起こりえる.危機的な状態においては,その状況の心理をよく考えて適切な対処を心がける必要がある.2011/12/24
バトルランナ-
19
武田鉄矢紹介本。イタリアのポンペイ火山 西暦79年家族ごとに死んでいる。家族を見やりながら絶命。p901846年。西部開拓時代、3200km。イリノイ州スプリングフィールド32人で西海岸へ出発。豪雪、食糧不足。インディアン。90人→42人死亡率47%。単身参加者の死亡率は家族もちの2倍。家族でいることの生物学的な利点。p132 明石の花火大会。茶髪犯人説あったなぁ。p179 JR新大久保駅3人死亡もあればキティジェノヴィーズの 38人見殺し事件もあるんだ。面白いけどこの本読んでもパニックになる自信あり 2020/08/22