出版社内容情報
伯爵令嬢の茉莉子はある日、「本業の小説のほうはさっぱりだが推理力には定評のある雅兄様」のもとに、女学校で噂の不可思議な「幽霊」の話をしに行くのだが…。美しく残酷な少女たちの浪漫的ホラー!
内容説明
売れない小説家・裏雅が「真珠姫」と呼び、ひそかに観察を続けているのは、彼を「雅兄様」と慕う伯爵令嬢の茉莉子。一見おっとりとして可愛らしい茉莉子だが、雅は彼女の秘められた特性に興味を禁じ得ない。茉莉子はある日、「本業の小説のほうはさっぱりだが推理力には定評のある」雅のもとに、女学校で噂になっている不可思議な「幽霊」の話をしに来るのだが…?
著者等紹介
丸木文華[マルキブンゲ]
埼玉県出身。BL、乙女の小説、ゲームシナリオを中心に活動中(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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カナン
65
大正時代独特の勿体ぶった云い回しと、茉莉子の浮世離れした朧な心理が作品全体に甘やかな毒を漂わせているようで、とても甘美。真珠姫と雅に呼ばれる茉莉子嬢の何とも評しにくい稚さと残虐さ。鴉の塗れ羽色した髪に絹の肌、切れ長の目をした美しい作家と、白雪の肌に琥珀の瞳、薔薇色の唇と輝く栗毛色の御髪を垂らした可憐なご令嬢。その双方が互いを研究し合う研究者と研究対象だと片づけてしまえるこの横暴さがいい。特に茉莉子の低温の毒々しさがとても優美で魅力的。雅は性質の悪い蠱惑的な殿方として、容姿や話し方などがとても理想的でツボ。2019/01/09
よっち
34
売れない小説家・裏雅がひそかに観察を続ける、彼を「雅兄様」と慕う春宮伯爵家令嬢茉莉子。彼女の周囲で起こる謎を雅が解決する浪漫ホラーミステリ。幽霊に取り憑かれて自殺した同級生、茉莉子に執着する幼馴染、引きこもってしまった少女が抱える秘密。大正浪漫的な雰囲気を舞台に、感情が欠落した少女と物書き探偵が遭遇する同級生たちの闇を描いた連作短編で、愛するものに対する歪んだ執着がもたらしたそれぞれの悲劇が描かれていますが、せっかくの設定を活かしきれていなかった感もあって、少しばかりもったいなかったかなという印象でした。2017/11/28
igaiga
28
唐突に終わった感じ。この2人の続きが読みたいなぁー。茉莉子さん可愛いし、この時代の「ごきげんよう」とか「おねえさま」とかいうの好きだ(笑) そして少女だからこそある残虐性みたいなのも好き。しかし、次の「珠代」の話ではこんな世界も裏をちょっとみるとこんな世界になっているのね。2018/06/05
のりすけ
22
大正お嬢様ロマンホラーミステリ。でも意外とライト。ちょっと変わっている茉莉子さんと小説家(売れてない)雅。茉莉子さんのご友人で幼馴染の歪んだ愛が怖いヨー。茉莉子さんは雅をおいしくいただいちゃうのかな。そこまで描いてほしいけど、続編は出ないのかしらん。2023/02/03
miicha
17
独特の雰囲気と世界観が楽しくてスルスル読めました。もしかしたら自分はこの路線がものすごく好きなのかも。続きがあったら買います!裏雅先生が犯人を追い詰めていく本格犯罪小説もちょっと読んでみたいかも。読めて良かったです。2018/04/24