出版社内容情報
ミツしかすわないハチが、なぜ獲物を狩るのだろうか? アナバチ、ジガバチ、ツチバチなど、狩人バチの生態をくわしく探りだす。
目次
1 ヴァントゥー山にのぼる
2 タマムシを狩るツチスガリ
3 ゾウムシを狩るコブツチスガリ
4 コオロギを狩るキバネアナバチ
5 キリギリスモドキを狩るラングドックアナバチ
6 イモムシを狩るジガバチ
7 コガネムシを狩るツチバチ
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
286
第2巻は「狩りをするハチ」。興味深く、しかも不思議なお話である。成虫となったハチは、主に花の蜜などを栄養源とするのだが、中には幼虫時代を肉食で過ごすハチがいる。スガリ、アナバチ、ジガバチ、ツチバチの類である。彼らは幼虫を育てる(主に土中)ために狩りをするのである。しかも、対象となる虫はそれぞれのハチによって厳密に決まっている。例えばツチスガリはもっぱらタマムシだけを、コブツチスガリはゾウムシだけを狩るのである。彼らの獲物探索能力にも獲物を殺さずに無力化する麻酔術にも、また幼虫の食餌行動にも驚かされる。2023/11/26
毒兎真暗ミサ【副長】
28
【ファーブル紀行と併読】冒頭はフランス、ヴァントゥー山の頂きからの写真。この山をファーブル先生はとても愛していた。ファーブル紀行(安野光雅の画集)では、麓からのスケッチになる。想像を重ね、共に山に入る感覚でハチを探す。食べ物や人を交えアヴィニョンやファーブル通りへ。先生の先駆者が実はいて、その謎解きのように始まった実験(腐らない死体の秘密)。そしてユリウスのこと。ハチの幼虫の不思議や、ハチの種類によって細分化される特徴も面白い。今度こそハチを捕まえたいな。前回の失敗を思いだしてちょっと落ち込む僕である。2023/12/10
takeapple
10
狩人バチって面白いね。確かに、どうやってコガネムシの幼虫に寄生するようになったのか考えると進化論が成り立つのには無理があるかなあ、今の定説はどうなっているんだろう?暖かくなったら色々な虫が出てくるだろうから、じっくり観察してみよう。できれば写真を撮ったり飼育したりしたいもんだ。それにしてもファーブル先生は、ただの観察者ではなく、実験をたくさんしていたんだねえ。虫ってこんなに神秘的で興味深く美しいのになんで気持ち悪いとか怖いという人が多いのだろう?とっても不思議。2024/03/20
もぐら
5
ずっと面白い…面白い…ってうわ言言いながら読んでた。寄生蜂、真社会性の蜂のことは他で齧ってたけどこれは281ページ丸ごと狩人蜂について。生きたまま獲物を麻痺させる麻酔の打ち方、鮮度を保つ食べ方、それを可能にする緻密な本能のプログラムとその落し穴、それ探る実験実験実験。コラムで狩人蜂の中のツチバチの種からアリが分岐していったって話もわくわくする。なによりこの手の本読んでて思うのは、1日土を掘り返して虫の残骸を手に入れたことが嬉しくて堪らず鼻歌を歌うような昆虫学者という生き物が最高に楽しいってことですよ。2020/08/25
piro5
3
一緒にファーブル先生と昆虫観察してる感じがする~。楽しい~。山登りでの昼食の描写など、昆虫観察だけでないのも良い。メモ:狩り蜂は獲物の神経節の集まったところを針で正確に狙って麻痺させる。ゾウムシのような1箇所に神経が集中している場合はその1箇所のみを刺す。芋虫は体節ごとに神経節があるのでその全てを刺す。幼虫は、獲物をできるだけ生かしたままにするため、重要ではない所から食べていく。2019/01/27
-
- 電子書籍
- たてもの怪談