内容説明
「強くなりなさい。わたしのかわいいアベラ、強い子になるのよ」母の最後のことばだけをささえに、ひとりぼっちで生きている少女。自分とはまったく似ていない母から、のけものにされている気がして、愛情を信じられなくなっている少女。絶望的に傷ついたふたつの魂がであったとき―。
著者等紹介
ドハーティ,バーリー[ドハーティ,バーリー][Doherty,Berlie]
リバプール生まれの児童作家。1982年に作家デビューしてから、その著作は50冊を超える。『ディアノーバディ』と『シェフィールドを発つ日』で、二度、カーネギー賞を受賞しているほか、さまざまな賞を受賞
斎藤倫子[サイトウミチコ]
英米児童書を中心に活躍する翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
マカロニ マカロン
4
個人的な感想:A。タンザニアとイギリスの当初全く無関係と思われた二人の少女。肌の色も、経済的な環境も全く対照的な二人の生活が交互に描かれていきます。いつまでたっても無関係のような二人ですが、タンザニアの少女アベラの身の上にはアフリカで広く行われている女性差別の慣習である陰核切除が行われます。この辺りから話が急展開していきます。子供向けの本ではありますが、宗教、環境、移民、格差、南北問題など様々な問題を提起しています。お奨めの一冊です。2011/12/31
にしき よう
3
(※未読の方は読まないで!) 基本的には良いお話だと思います。でもローザの家の養子の話が出た時、この二人がどう葛藤して家族になっていくのかということがテーマの作品なのかと思っていたら、その辺りのところはあっさりで拍子抜けしてしまいました。(まあ、二人とも違うところで予行演習したので?いいのかもしれないけれど…) 個人的にはちょっとがっかり。斎藤さんの翻訳と主婦の友社から出版ということで、書店で見たとき即買いと思ったけれど、思いとどまってよかった。でも、この本を読んで、イギリスの学校や福祉関係の方々の子ども2010/06/18
くろねこ
3
構成にやられました。時々一人称が入ると思っていたら、こういうことだったのね。アベラのいじらしさと逞しさに勇気をもらえます。ただ翻訳がちょっと。子どもが使わないような言葉や、単調なセリフが気になりました。それを補ってあまりある話運びでしたけどね。2010/04/29
tsubamegou
3
タンザニアとイギリスの少女2人が、とてもとても魅力的。とくにタンザニアのアベラが。これ以上ないくらいに過酷な目にあい、信じた人に裏切られ、それでもまっすぐな少女。児童文学なので、少女の視点から語られていて、それはそれでいいのだが、大人の私としては、里親になろうとする母親の動機や心情も知りたかった。それは、また別の物語になるのだろうけど。2010/02/27
ジロ
2
児童書。家族を病気で失ったタンザニアの少女アベラが主人公の物語。アフリカ孤児、エイズ、密入国、人身売買、女子割礼、養子縁組など、多くの問題が組み込まれている。養子として受け入れる側のイギリスの少女の物語も交互に出てくるもののメインはアベラ。平和な日本で暮らしている子供達がどこまで理解し、想像することができるだろう。私自身ニュースで見聞きしてる内容なはずなのに、始めはいつの時代の話か恥ずかしながらピンとこなかった。アフリカの問題だけでなく、平和で安全な今の生活が当たり前ではないことを知る一冊になると思う。2019/04/24
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- 和書
- 十字の記憶 角川文庫