出版社内容情報
「もうこの世界は、ムーミンが生きるところじゃなくなったんだ」
春がこないうちに、冬眠からひとり目ざめたムーミントロール。
はじめて見る、まっ白な雪、生きものの音がひとつもしない、止まってしまった世界に絶望します。
せっかく出会った、ちびのミイは、ママのおぼんでスキーを満喫していて、相手にしてくれません。
パパの水あび小屋に住む、なぞめいたトゥーティッキ、ムーミントロールのご先祖さま、美しくも恐ろしい氷姫など、冬の世界のいきものたちは、「わけがわからない、へんなやつだらけ」。
ついには、食べものがなくなったむこうの谷から、おおぜいの生きものがムーミンママのジャム倉庫めざしてやってきて――。
さあ、春はやってくるのでしょうか?
『ムーミン谷の冬(原題 TROLLVINTER)』は1957に発表された作品で、原題は「トロールの冬」という意味です。発表された順番だと5番めのムーミンのお話になります。
ながく愛読されてきた児童向けのハードカバー版「ムーミン童話集」(1990年初版 全9巻)の改訂版「ムーミン全集[新版]」が、2019年から2020年にかけて刊行されました。人気の登場人物である「おしゃまさん」を「トゥーティッキ」に、冬眠するムーミンたちがおなかにつめこむ「松葉」を「モミの葉」に、「せともののストーブ」を「タイルストーブ」にするなど、いまの言葉にあわせた、より読みやすいムーミンの物語になりました。
講談社文庫では、1978年からムーミンの物語をご紹介してきました。本書は、2025年小説ムーミン誕生80周年記念として、2019年の改訂版のテキストにあらためた[新版]です。トーベの手になる美しい挿絵とともに、ムーミンの物語をお楽しみください。
《収録》
解説……山室 静
ムーミン谷の魅力 5『ムーミン谷の冬』トロールのサーガ、または「冬もまた楽し」……冨原 眞弓
*この本は『ムーミン全集[新版]5 ムーミン谷の冬』(2020年講談社刊)の文字づかい等を改めたものです。
*中学生以上漢字にふりがな
内容説明
冬眠からひとり目ざめたムーミントロールは、はじめて見る雪にびっくり。パパの水あび小屋に住むトゥーティッキやご先祖さま、美しくも恐ろしい氷姫など、冬の世界のいきものたちは、「わけのわからない、へんなやつらだらけ」。ついには、食べものがなくなり、おおぜいの生きものがママのジャム倉庫めざしてやってきて―。
著者等紹介
ヤンソン,トーベ[ヤンソン,トーベ] [Jansson,Tove]
1914年8月9日‐2001年6月27日。画家・作家。彫刻家の父、挿絵画家の母のもとにヘルシンキで生まれ、幼い頃から画家を目指す。ヘルシンキ、ストックホルム、パリで絵を学び、政治風刺雑誌『ガルム』や児童書、新聞の挿絵等を精力的にこなした。ムーミン小説9作品は、戦争中、自分自身の安らぎのために執筆した『小さなトロールと大きな洪水』(1945)から始まった。1966年国際アンデルセン賞受賞、1976年プロ・フィンランディア勲章受章
山室静[ヤマムロシズカ]
1906年‐2000年。文芸評論家・翻訳家。鳥取県生まれ。岩波書店退社後、東北大学美学科で学ぶ。1964年『ムーミン谷の冬』を翻訳し、日本に初めてムーミンの物語を紹介した(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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- 和書
- 歎異抄 講談社学術文庫