出版社内容情報
男は22年前の友人たちに憑依する。迷宮入り殺人事件の真相を追って。
タイムリープ・ミステリの金字塔『七回死んだ男』を凌ぐ衝撃!
作家生活25周年を飾る長編ミステリ!!
教師の田附悠成は、過去へ遡って友人たちに憑依するという特異能力を持つ。
だが誰に憑くかは選べない。確実なのは、恩師の義理の息子が殺された22年前に戻ってしまうことだけ。
身をもって体験する友人たちや被害者の不可解な行動、そして隠された女の死。
迷宮入り殺人事件の“あの日”を繰り返す田附が辿り着いた驚愕の真相とは?
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
W-G
254
決して面白くないわけではない。しかし、一応ミステリ作家だから人が死ぬ話にしておきましたと言わんばかりに、エロパートとミステリ部分が解離したままで、ついでにSF設定もトリックに活かされているように見えて、実は存分にエロ描写をしたいがためのものに感じる。要所要所に新本格畑ならではの凝った伏線はあり、流石と思える反面、冒頭のベック神父のエピソードや、急に現れて何の説明もないまま使い捨てで終わったヒトミの存在など、投げっぱなしで終わった伏線も目についた。なぜ主人公だけがここまで灯子先生にハブられたのかが最大の謎。2023/05/08
おうつき
21
過去の他人に憑依する能力を持った男が、かつて自分の身近で起きた殺人事件について検討していくミステリ。自発的に誰に憑依するかは選べないというのが特徴的で、面白みでもあった。人間関係はいつもの西澤ミステリで、狭い人間関係の中で情事が繰り広げられる。流石にちょっと食傷気味ではあるが、意外な部分に伏線が張られていたりしてしっかり楽しめてしまった。この能力を使ったミステリで一番見たかった部分がさらっと流されてしまったのは不満ではある。2024/02/06
LUNE MER
17
なんせ性的描写(しかもアブノーマルなやつ)が多いので、苦手な人は読まないことをお勧めする。とは言うものの、その辺りの描写がカットされてしまうと本作は本作たり得ないものとなってしまうとも感じる。真相の意外性と伏線の張り巡らせ方は巧いが、ラストはやや粗さを感じる駆け込みのような展開。2024/01/24
hnzwd
16
眠ると過去の知り合いに入り込み、その人の視点で物事を追体験できる、という西澤作品っぽい特殊設定。フェティッシュなところも満載。辿り着く真相が全部を伏線にしていく感じは相変わらずで素敵だよなー2024/12/08
きゅうくつ
11
『七回死んだ男』を凌ぐ衝撃!の帯に高まる期待。が、衝撃という点ではまあ確かにそうも言える…か…??という程度。性描写がやたら多い。むしろそれが衝撃か。最近の西澤さんはこういう作風なの?かの名作を凌ぐとは言い過ぎな気はするが、面白かった。2023/07/12