出版社内容情報
亡きあとも綴られる、書かれるはずのない母の日記。
向き合えなかった家族の物語が巻き戻っていく――。
二年前に父が他界し、先月には母もこの世を去った。
不動産会社で働く原田燈子は、天涯孤独になった。
でもずっと前から一人だったのかもしれない。
二十年以上前の不幸な出来事をきっかけに――。
不可思議な死者の日記が繋ぐ「この世」と「あの世」、そして「過ち」と「赦し」。
【目次】
内容説明
二年前に父が他界し、先月には母もこの世を去った。不動産会社で働く原田燈子は、天涯孤独になった。でもずっと前から一人だったのかもしれない。二十年以上前の不幸な出来事をきっかけに―。向き合えなかった家族の物語が巻き戻っていく。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
185
彩瀬 まるは、新作をコンスタントに読んでいる作家です。本書は、デビュー15周年記念作品、夜行幻想譚家族小説、不思議な世界観でした。 https://www.kodansha.co.jp/book/products/00003743282025/10/18
いつでも母さん
146
その世界はまだ踏み入れてないのだし、そこから戻って来た人を知らない。だから、彩瀬まるの本作をどう感じ取るかなのだなぁ。死の匂いというか、死を想う香りを感じることが多い作者(当方比)故に死者が死者を慮る情もさもありなんか。亡くなった母の日記・・私は読むか?実家に有るんだよな何冊も(汗)私のお宝ってなんだろう。2025/10/29
itica
74
ある不幸があってから燈子の家は光が消え、ただの入れ物になった。更に父が、やがて母が亡くなり、燈子の寄る辺ない寂しさは募る。人は亡くなったらどうなるのだろう?誰しもが思うことだ。まるさんの描く死後の世界がここにあった。哀しみや後悔を抱えた死後の旅。もし、そんな世界があっても私は静かに受け入れるだろう。でも今は精一杯生きてみるよ、と亡き母に語りかけてみる。 2025/10/29
もぐたん
55
死への畏れと安らぎへと続く旅の中の幻想的な世界が、死者の視点と生者の視点を織り交ぜながら描かれる。苦しみや後悔を連れてきた死者が、それらを風化させるまで続く静かな旅。死んでまで生きた時間に惑わされ苦しみたくはないし、罪に苛まれ、悲しみに囚われたくない。死後の世界は安らかであってほしいと思いを馳せる一冊。★★★☆☆2025/11/13
えみ
50
死んでまで後悔に囚われ続けたり、苦悩に急き立てられたりしたくない。そんな自我ある死後の世界などに流れたくない。死んで解放、どころか苦行のなにものでもないじゃないか。と読了した今でも考えが変わったわけではないけれど…感情を手放していないのならば、過去を見つめ直し未来への道を切り開く、そんな希望も持つことができるのではないかとも思う。希望を持てることは救いだと思うから。母が亡くなり実家に戻った燈子は死後も綴られ続けている日記帳を見つける。彼女にとっては母とは、家族とは。母の捜し人とは、父の想いとは。道を拓く。2025/11/01




