内容説明
妻の死から一年。警察官の神崎守衛は、遺品の中から手紙を見つける。三軒茶屋のビアバー“香菜里屋”に、妻は「最後のプレゼント」を用意したという。マスター工藤が振る舞う炊き込みご飯は、妻のそれと同じ味。感傷に浸るも、料理の名を聞き愕然とする―(表題作)。連作短編の名手が紡ぐ、大人のミステリー!
著者等紹介
北森鴻[キタモリコウ]
1961年山口県生まれ。駒澤大学文学部歴史学科卒業。’95年『狂乱廿四孝』で第6回鮎川哲也賞を受賞しデビュー。’99年『花の下にて春死なむ』で第52回日本推理作家協会賞短編および連作短編集部門を受賞した。2010年1月逝去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
94
今回は5つの連作短篇が収められています。最初と最後のものがつながっています。岩手花巻出身の人物が東京から故郷に戻り小料理屋を開店してそれを手伝いに香菜里屋の主人が行って‥‥。この本の題名となっている作品も緑の御衣黄という名前の桜が由来となっているのでしょう。料理などもいつも楽しめます。2021/09/12
nico🐬波待ち中
94
シリーズ第2弾。東京は三軒茶屋の裏路地にあるビアバー《香菜里屋》。決して立地条件が良い訳ではないのに客足が途切れないのは、美味しいビールと料理が楽しめる隠れ家のような安らぎの場だから。いつものようにマスターの工藤が優しい笑顔で訪れるお客たちを出迎えてくれる。今回も工藤と常連客たちの推理合戦が楽しめた。工藤と常連客たちの仲の良さはいつ読んでも心地よい。ビアバーだけに推理合戦後の後味はちょっと苦めだけれど。。そして今回も工藤の創作料理の数々は想像するだけでお腹が減る。特に桜飯が食べてみたい。2021/05/09
nemuro
59
新装版を契機に再び愉しんでいる<香菜里屋>シリーズの第2巻。表題作を含む5編を収録。「2006年4月に刊行されたものの新装版」とのこと。当時、刊行からさほど日を置かずに購入し読んでいたので、たぶん根室時代で以来の再読。馴染みのビアバーでの会話を中心とする本書。個人的には、“ひとり呑み”を始めた30代前半(札幌時代)以降、行きつけだった札幌、帯広、富良野、稚内、根室のお店やマスターたちを思い浮かべながら堪能した。その後、函館、芦別、網走、再度の函館を経て現在の富良野にて60代の私。更に新鮮にして味わい深い。2021/09/16
三代目けんこと
44
第2弾 読了。あと2冊、どんなラストが待っているのだろう?2022/08/06
のんちゃん
35
東京三軒茶屋、香菜里屋というビアバーの店長工藤が、その客が持ち込む謎や事件の真相をその会話から見抜くシリーズ第2弾。第1弾は読メ登録のずっと前に読了。その当時は2010年に早逝された作者もまだご存命だったと思う。持ち込まれる謎や事件はちょっと突拍子もないものであるが、これが面白い。そしてビアバーで供される酒の肴の美味しさ満点の描写は、それだけ読むのでも楽しみな出来となっている。今シリーズはあと2巻あり、絶対読む事を決めている。北森鴻さん、早く鬼籍に入られすぎました。あらためて合掌。2021/04/02