出版社内容情報
幕末の不平等条約から大日本帝国憲法の制定、そして敗戦を経て日本国憲法の公布、サンフランシスコ平和条約による主権回復まで、成立の過程、運用の紆余曲折、思想と解釈の変遷を膨大な史料を繙き明らかにし、統一国家としての日本における立憲の歴史を体系立ててたどる。近代国家へのあゆみのなかで、この国は何を必要とし、どこへ向かおうとしてきたのか? 全国民必読の書。
内容説明
一八八九年発布の大日本帝国憲法は、統一国家としての基本原理を、君主主義的な立憲制に求めた。敗戦後、占領軍のもと複雑な経緯で定められた日本国憲法は、大陸型の政治制度と米国型「法の支配」の概念を併せ持つに至る。近代のわが国が時代ごとに必要としてきたものは何か?議論をさかのぼり、成立過程と運用の変遷から日本の憲政を振り返る。
目次
序章 日本憲法史の考え方
第1章 条約改正問題の推移
第2章 立憲政体構想の模索
第3章 立憲政体構想の確定
第4章 立憲体制樹立への準備
第5章 基本法典の調査立案
第6章 枢密院の基本法典制定会議
第7章 明治典憲体制の成立
第8章 明治立憲制の特質と運用
第9章 日本国憲法の制定
第10章 現行憲法体制の成立と運用
著者等紹介
大石眞[オオイシマコト]
1951年宮崎県生まれ。東北大学法学部卒業。専門は憲法学、議会法、憲法史。九州大学教授、京都大学教授等を経て京都大学名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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politics
7
明治憲法から日本国憲法までの通史。特徴は明治憲法及び議院法等の附属法の審議・制作課程が丹念に描かれており、その運用における問題点なども挙がられている点だろう。特に議院法や財政法制定課程等も詳しく述べられており、憲法史ならではと感じた。また、明治憲法も現行憲法と同様に、附属法等の「実質的意味の憲法」の重要性は変わらないことも重要な点だろう。2021/06/09
ikeikeikea
4
有斐閣から出版されていた同名書の文庫化。明治憲法から日本国憲法まで憲法史を憲法付属法も含めて論じた1冊。明治憲法の制定、運用については手厚く書いているが日本国憲法のソレについては大して論じられていないので注意が必要。憲法改正案特別委員会で宮沢俊義が「憲法全体が自発的にできているものではない」とぶっちゃけてしまう状況なので論じる事があまりないからであろう。明治憲法については制定時の議論も描かれていて興味深い。臣民の権利と憲法に記載するべきでないと述べる森有礼に立憲主義の意義を述べ批判する伊藤博文が素晴らしい2020/02/08
えだげ
0
明治憲法はもっと評価されていい2020/10/28