内容説明
三方ヶ原で家康を追い詰めた信玄の動きが突然止まる。信玄亡き後、代替わりした勝頼は家臣団を纏めきれず、長篠の戦いに敗れ、高天神城も落城する。石山合戦を終えた信長がついに牙をむき、武田が崩壊していく最中、嶽神・無坂は落城必至の高遠城に入り、小見の方を守り戦う道を選ぶ。気高く美しき男の最期。
著者等紹介
長谷川卓[ハセガワタク]
1949年、神奈川県生まれ。早稲田大学大学院文学研究科演劇専攻修士課程修了。’80年、「昼と夜」で第23回群像新人文学賞受賞。’81年、「百舌が啼いてから」で芥川賞候補となる。2000年、『血路 南稜七ツ家秘録』(改題)で第2回角川春樹小説賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ポチ
53
無坂の山の者としてのひたむきな信念・生き様が胸を打つ。《かまきり》の無坂もまた良い。2019/11/10
ベルるるる
27
あ~読み終わってしまった・・・。しばらくは本棚の中に置いて、そしてまた読もう。著者のあとがきが良かった。こんなに面白いシリーズも最初は全く売れなかったのですね。そしてお身体をくれぐれも大切にして、ゆっくりでもいいので書き続けて欲しいです。2019/11/14
アオヤマ君
16
時代が移り変わる。敵も味方もなく、山の掟、おのれの生き方、山への畏怖、自然体で生き抜いた「無坂」。読後の余韻が残る。2023/03/03
YONDA
10
嶽神伝無坂シリーズもこれで完結。小見の方を助けるため高遠城に籠り、織田の大軍を待ち受ける。敵であったかまきり達と共に戦い皆死んでいく。無坂の死も華々しい死ではなく、一兵卒の儚い死。無坂は嶽神となった。2024/07/07
屋根裏部屋のふくろう🦉
10
勝頼は無理に挑んだ長篠で大敗。上杉は御家分裂で信虎が景勝に敗北。世代交代を機に北条、武田、上杉の三強の勢力均衡が崩れた。いよいよ織田徳川連合軍が武田討伐へ。無坂、山の者、五明、日疋等カマキリはどうなる?我が父方のご先祖様は武田軍団の一員だったらしい。死んだ祖母によれば、「その昔、戦の後に甲州屋と奈良屋の手引きで落ちのびたそうな」。どの戦であったか等詳細は不明だが、その途中で刀を捨てたのだらふ。もしやここに書かれた戦の中にご先祖様もいたのだらふかと思うと、沁みる。生き抜いてこそ今の我らあり。2020/01/11