出版社内容情報
長浦 京[ナガウラ キョウ]
著・文・その他
内容説明
小曾根百合―幣原機関で訓練を受け、東アジアなどで三年間に五十人超の殺害に関与した冷徹非情な美しき謀報員。「リボルバー・リリー」と呼ばれた彼女は、消えた陸軍資金の鍵を握る少年・細見慎太と出会い、陸軍の精鋭から追われる。大震災後の東京を生き抜く逃避行の行方は?息をもつかせぬ大藪春彦賞受賞作。
著者等紹介
長浦京[ナガウラキョウ]
1967年埼玉県生まれ。法政大学経営学部卒業後、出版社勤務などを経て放送作家に。その後、難病指定の病にかかり闘病生活に入る。退院後に初めて書き上げた『赤刃』(講談社文庫)で第6回小説現代長編新人賞を受賞。2017年、デビュー2作目の『リボルバー・リリー』(本書)で第19回大藪春彦賞を受賞した(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
W-G
322
映画公開を控え、著者の作品の中で最も知名度の高い一冊のはず。しかし、レビューをざっと拝見した限りわりと賛否両論で、自分の感想としても、入り込めずに長さを苦痛に感じた。百合と慎太の逃避行が同じ展開の連続で単調なうえ、状況説明や内面描写が乱雑に詰め込まれすぎて読む勢いを殺す。ぶっ飛んだ設定のアクション物であるだけに、カタルシスが不足している点も大きい。タイトルに冠するくらいならば百合の活躍を際立たせるべき。じゅうぶん人外ではあるが苦戦場面ばかりが目立ち、主要な敵キャラの止めはほぼ別人物ていうのはちょっと。2023/07/13
absinthe
202
銃弾が飛び交い喉を締め蹴りを入れ、半分は格闘描写だが実に面白い。時代背景の解説もいろいろあり飽きない。主人公はスパイの訓練を受けた若い女で綽名はリボルバーリリー。不正に蓄財された軍資金の奪い合いに巻き込まれ、少年の身を守りながら逃亡を続ける。それを追う陸軍省・内務省・海軍省。軍資金のリアリティが何ともいえない存在感で、興味深い。格闘よりも背景の方に目が行ってしまうくらいだ。映画化されて、主演は綾瀬はるかみたいだが、少年を守って逃げ回る設定が脳内で『精霊の守り人』と被ってしまう。面白いが疲れる読書だった。2023/10/26
しんたろー
189
関東大震災から始まる物語は大正ロマンとヴァイオレンスが織り交ぜられた独特な世界観…スパイ育成機関出身の美女・百合、陸軍の裏金作りをした男の息子・慎太、二人に迫る敵の魔の手が凄まじい。無類の殺傷能力と知恵を駆使する百合が恰好いいし、オシャレを気にする姿が微笑ましい。彼女の相棒である中国女性・奈加のキャラも粋で、敵方にも憎いキャラが揃っている。度々ある緊迫のアクションシーンにはハラハラドキドキ。100ページ程凝縮すれば傑作になったと思える長さが欠点だが、百合のハードボイルド&慎太の成長譚として大いに楽しめた。2020/10/09
イアン
123
★★★☆☆☆☆☆☆☆大藪春彦賞を受賞し、2023年に映画化された長浦京の長編。大正時代の東京で裕福に育った慎太は、理由も分からぬまま越してきた秩父の地で家族を惨殺される。信頼する老人から頼るように告げられたのは、世界中から恐れられた女諜報員・百合の名前だった――。大半をヤクザや軍からの逃亡劇と銃撃戦に費やす展開はただひたすら冗長。百合が如何にして捜査の手をかいくぐり暗殺を続けたかという疑問に対しても「犯行時のアリバイも完ぺきだった」の一文で済ませてしまう。基本的にミステリ好きが読む作品ではないなと感じた。2025/01/17
シナモン
121
映画の予習。関東大震災後の東京を舞台に美しき諜報員小曾根百合と家族を殺され訳が分からぬまま追われる身となった少年、細見慎太の逃避行を描く。陸軍、ヤクザ、膨大な謎の資金…暗く、怪しげな香りがたちこめ、血なまぐさいアクションシーンも満載。一緒に逃げてるような感覚になってちょっと疲れましたが面白かったです。百合役は綾瀬はるかさん。ピッタリだと思いました。映画も楽しみです。2023/05/22