講談社学術文庫<br> 西洋中世の罪と罰―亡霊の社会史

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講談社学術文庫
西洋中世の罪と罰―亡霊の社会史

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  • サイズ 文庫判/ページ数 256p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784062921039
  • NDC分類 230.4
  • Cコード C0122

出版社内容情報

エッダ、サガ、『奇跡をめぐる対話』、『黄金伝説』、『贖罪規定書』などの資料を渉猟しながら、ヨーロッパの精神構造の根源へと迫るミシェル・フーコーは、ヨーロッパにおける「個人」と「権力」の関係についてこう述べています。
「個人としての人間は、長いこと、他の人間たちに基準を求め、また他者との絆を顕示することで(家族・忠誠・庇護などの関係がそれだが)、自己の存在を確認してきた。ところが、彼が自分自身について語りか得るかあるいは語ることを余儀なくされている真実の言説によって、他人が彼を認証することになった。真実の告白は、権力による個人の形成という手続きの核心に登場してきたのである」
ヨーロッパにおいて12?13世紀にかけて、大きな変化が起こりました。8?9世紀に起こったカロリング・ルネサンス以降、ゲルマン社会はキリスト教化の動きが顕著になっていきます。そこで登場したのが、「贖罪規定書」です。俗信や魔術など迷信的な世界に生きる民衆の日常生活の細部にいたるまで点検し、個々の行動を裁き、罰を与えるものです。その介入は、「自発的な告解」にもとづくものでした。聖書にもとづく生活モデルに合わないことを罪とし、それに細かく罰を与えたのでした。こうすることで「個人」対「国家権力」が西洋的なあり方で成立していきました。
本書では、「贖罪規定書」以前の死者の国(元気な死者たちが暴れ回る)が、だんだんと弱い死者の国(地獄・煉獄からの助けを求める)へと変化していく様子を、様々な資料から読み解いていくものです。
エッダ、サガ、『奇跡をめぐる対話』、『黄金伝説』そして『贖罪規定書』と様々な資料を渉猟しながら、ヨーロッパの精神構造の根源へと迫ります。

はじめに
第一章 古ゲルマンの亡者たち
第二章 死者の国と死生観
第三章 キリスト教の浸透と死者のイメージの変化
第四章 中世民衆文化研究の方法と『奇跡をめぐる対     話』
第五章 罪の意識と国家権力の確立
第六章 キリスト教の教義とゲルマン的俗信との拮抗
      ??贖罪規定書にみる俗信の姿
第七章 生き続ける死者たち
あとがき



阿部 謹也[アベ キンヤ]
著・文・その他

内容説明

エッダ、サガに登場する粗野でたくましい死者のイメージは、中世後期の『黄金伝説』『奇跡をめぐる対話』では、生者に助けを求める哀れな姿となる。その背景には何があったのか?キリスト教と「贖罪規定書」そして告解の浸透…。「真実の告白が、権力による個人形成の核心となる」(M・フーコー)過程を探り、西欧的精神構造の根源を解き明かす。

目次

第1章 古ゲルマン社会の亡者たち
第2章 死者の国と死生観
第3章 キリスト教の浸透と死者のイメージの変化
第4章 中世民衆文化研究の方法と『奇跡をめぐる対話』
第5章 罪の意識と国家権力の確立
第6章 キリスト教の教義とゲルマン的俗信との拮抗―「贖罪規定書」にみる俗信の姿
第7章 生き続ける死者たち

著者等紹介

阿部謹也[アベキンヤ]
1935~2006年。一橋大学経済学部卒業、同大学院社会学研究科博士課程修了。一橋大学名誉教授・元学長。歴史学者。著書に、『中世を旅する人びと』(サントリー学芸賞)、『中世の窓から』(大佛次郎賞)、訳書に『ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら』(日本翻訳文化賞)など多数ある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

HANA

16
ゲルマン社会においてキリスト教侵入以前と以後の死者に対する考え方の違いを論じた一冊。資料として民話が多数収録されているので、そっちを読んでいるだけで楽しめる。死者と復讐とか墓荒らしの話とか。こうして並べられると初期の豪壮な死者が弱々しく罪に怯える死者に変化していった事がよくわかりますな。キリスト教の贖罪規定書が資料として提示されているが、これが日常の細かいところまで異常にうるさく指示している。これだけ細かく言われたら民衆の意識も変化するわな。2012/03/19

ハチアカデミー

14
B 中世ヨーロッパの教会が何を罪としたのかを読み解き、そこから抑圧された民衆の生活を浮かび上がらせる試み。キリスト教の教えによって、生命力を失っていく(!?)死者像の変遷が面白い。北欧のエッダ、サガにおいては、生者に暴言を吐き、暴力を振るっていた死者が、教会の影響下で、哀れみを乞う静かな死者となる。その過程が丁寧に論考されている。そして、何よりも読み所は「贖罪規定書」の翻訳箇所である。第六章のほぼ全部を使い、具体的な罪と罰があげられる。それ読むことで、逆に何が信じられ行われていたのかを知ることが出来る。2012/05/15

sputnik|jiu

7
学生の頃から、キリスト教圏に幽霊やら亡霊やらという概念が存在するのは何故なんだろう、とずっと疑問に思っていたんだけれど、その疑問に応えてくれる本に初めて出会った。 ゲルマンの民衆レベルでの土俗的な信仰に対して、覆いかぶさるように進められたキリスト教の教化政策。その政策の一環である「贖罪規定書」の内容を読むと、その罰則の内容から逆算して、民衆レベルではどういった信仰が存在していたのかが分かる。2012/10/04

えーち

6
ちょっと私が思ってたアプローチとは違ったけど面白かった。アイスランド・サガから読み取れる死者や死後のイメージと、中世のキリスト教浸透によるそのイメージの変化についてはとても興味深かった。特にキリスト教の導入以降は、国家権力、キリスト教の教えの浸透のため、死後の世界や死者の性質が作り変えられている点が非常に面白い。2014/12/19

もみち

5
【大学】中世初期、民衆にキリスト教が行き渡っていなかった頃、「死者」イメージはゲルマン的要素を孕んでいた。聖書に基づいて一元的な宇宙像を強要する教会(キリストを頂とする宇宙?)と、伝統的な宇宙像の世界に生きる民衆(自然、魔術が跋扈?)という二項対立がポイントだと思う(p.214)。「贖罪規定書」なるものが面白い。ゲルマン的まじないを口にしたら、〇日間パンと水だけで過ごせ、というもの。しかしそこまでしても、完全にはゲルマン的要素を拭うことはできなかった……というのが結論だった、はず。2017/12/31

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