内容説明
東京裁判を批判し、裁判の誤りを認めたマッカーサー。そのとき日本のメディアは何を報道し、何を報道しなかったのか。朝日新聞を始めとする全国54紙の報道を完全収録!戦後の日本で固定した間違いだらけの「定説」を覆して、新たな「マッカーサー像」を描き出す、衝撃のノンフィクション!
目次
第1部 「東京裁判は誤り」の謎と真実(「東京裁判は誤り」の発掘;マッカーサーはなぜ東京裁判を批判したのか;東京裁判の審査と訴願の内幕;天皇はなぜ不起訴になったのか)
第2部 GHQの設置と言論検閲の実態(GHQの設置と組織構造;言論検閲の実態)
第3部 マッカーサー解任の内幕と「東京裁判は誤り」の謎と真実(朝鮮戦争の勃発から米上院軍事外交合同委員会聴聞会まで;「東京裁判は誤り」の謎を解く)
著者等紹介
吉本貞昭[ヨシモトサダアキ]
昭和34年生まれ。国立大学の大学院を修了後、中国留学を経て、現在は大学の研究機関に在籍。専門分野の中国研究の他に、大東亜戦争の、開戦と終戦原因、特攻の戦果、東京裁判と日本国憲法の検閲について研究している。約10年にわたり高等学校で世界史などを担当(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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北本 亜嵐
10
ダグラス・マッカーサー元帥は後に「東京裁判は誤りだった」と発言した。何故、そう言ったのか?を検証したのが当書。実際のところは決定的な根拠はないらしい。当時の大統領、トルーマンとの対立からだと言う説もある。当時の一次資料を用いているのは良いとしても、新たなマッカーサー像を見つけるには至りませんでした。2014/09/23
河童
1
ニュルンベルク裁判にしても東京裁判にしても、警告的な効果はない。つまり、この裁判もって侵略戦争に対する抑止力は期待できない、とマッカーサーは言ったようです。東京裁判は誤りあった、というのはマッカーサーの言った言葉を伝える新聞各紙の見出しで、あくまでマスコミの解釈にすぎなかったようだ。まぁ、いずれにしてもだ、戦争は勝てば官軍で、すべて勝者が正しいと判断されるのが太平洋戦争以後の常識なんでしょう。現にイラク戦争にしても、現在進行中のシリアにしても、でっち上げても勝てばそれでよしとするアメリカが証明してます2013/09/03
Yasuhisa Ogura
0
東京裁判を批判する根拠の一つとして、マッカーサー自身が「東京裁判は誤り」と発言したことが指摘されている。本書は、その真偽を検証する。類似の発言はあったものの、このような発言は存在していないと結論づける。その上で、なぜこの発言が一般的に広まったのかについて検証する。その際に着目するのは、GHQによる検閲である。検閲の内容を決定していたのはマッカーサーであり、このように報道されることがマッカーサーにとって都合がよかったからであると結論づける。本書が、この報道に関する新聞記事を収録している点は、高く評価できる。2013/07/16