内容説明
「第三の新人」が文壇に登場し、注目を浴びていた時、彼らと歩を合わせるかのように、ひとりの新しき批評家が誕生する。それまでのマルクス主義的批評でもなく、また作家の生理によりかかる作家論的アプローチでもなく、作品それ自体の内部に“美”を見出す審美的批評を提唱し、その原理を探究する途に赴くも、中絶。新世代批評家として嘱望されながらも、三十三歳で自死した服部達の代表的作品を精選。
目次
われらにとって美は存在するか
批評の新しい針路
新世代の作家たち
劣等生・小不具者・そして市民
「近代文学」的公式の崩壊
堀田善衞論
大岡昇平論
伊藤整論
ロバート・シューマン論
最後の日記
著者等紹介
服部達[ハットリタツ]
1922・2・13~1956・1・1。文芸評論家。東京都生まれ。1942年、京都帝大文学部独文科入学。ドイツ・ロマン派を研究していたが、44年、学徒兵として応召。航空見習士官で終戦を迎える。53年、「隊商」「現代評論」の同人となり、奥野健男、日野啓三、村松剛、遠藤周作らを知る。54年、第三の新人を中心に十人の若手作家を論じた「新世代の作家たち」を「近代文学」に、また「堀田善衞論」を「文学界」に発表し注目を浴びる。55年、遠藤、村松と(メタフィジック批評)を提唱。「群像」に「われらにとって美は存在するか」を連載。「第三の新人」と同世代の新しい評論家として期待される存在だったが、予年元旦、八ヶ岳山麓で遺書を残し失踪、半年後に死亡が確認された(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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