内容説明
前田利家の四女に生まれ、大閤秀吉の養女となった豪姫は、幼馴染の若き武将・宇喜多秀家に嫁ぎ、その前半生は、幸せに満ちていた。しかし、関ケ原の戦いに敗れ、秀家は、孤島八丈島に流され、お豪はひとり加賀の地に移り住んだ。「もうこれ以上の底はない」二人の永い埋れ木の日々が始まる…。戦乱の世の男女の悲運と愛の絆を哀切に描き、その孤独の時間の中に、人間の幸福、人生の意義を追求した長篇歴史小説。
著者等紹介
中里恒子[ナカザトツネコ]
1909・12・23~1987・4・5。小説家。神奈川県生まれ。川崎高等女学校卒業。永井龍男を知り、文学を志し、「山繭」や女性だけの同人誌「火の鳥」に参加。1931年頃より横光利一に師事。39年、国際結婚を題材とした「乗合馬車」「日光室」で、女性初の芥川賞を受賞。戦後は、混血二世を扱った『まりあんぬ物語』で出発。『此の世』『歌枕』『わが庵』など、透徹した人間観照と、風土や古典美に対する繊細巧緻な表現で独自の世界を確立する(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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