内容説明
未曾有の危機は中国に何をもたらしたのか。看過されてきた大恐慌の中国への影響を初めて体系的に叙述、中国を世界経済史のなかに位置づけるとともに、中華帝国から現代中国への大きな転換をも捉えた画期的成果。
目次
近代中国の経済システムと世界経済
第1部 インフレと自由放任の時代―1931年以前の経済動向(銀本位制―国際通貨システムにおける中国;工業化へ―揚子江下流デルタの繊維産業;企業借款―製造業の資金調達問題)
第2部 大恐慌の時代、1931‐35年―政治経済の変容(農村恐慌;製造業の経営破綻;上海金融恐慌 1934‐35年)
第3部 統治とその限界―難京国民政府経済政策の再検討(危機への対応―1935年11月幣制改革;景気回復と財政規律;経済復興の模索―政策の目的・手段・効果)
大恐慌は何をもたらしたのか―現代中国への展望
著者等紹介
城山智子[シロヤマトモコ]
1965年東京に生まれる。1995年東京大学大学院人文科学研究科博士課程単位取得退学。1996年北海道大学文学部助教授。1999年ハーバード大学歴史学部博士課程修了(Ph.D.History)。現在、一橋大学大学院経済学研究科教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Fumi Kawahara
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米国でのバブル崩壊、通貨安による輸出好調、その後、各国の金融緩和による通貨高騰、日本製造業との競争激化、不景気を感じて銀行に貯蓄されたり、都市部不動産に流れ込む通貨、農村危機、抗日運動、それを受けての日本経済界の中国投資への逡巡、中国投資に足踏みする日本を横目に、ドイツが中国投資に進出、不動産バブルの崩壊によるデフレの本格化、繰り返される国境の紛争・・・今と相似形の、戦前・大恐慌下の中国。しかし、この頃の「中国」って、イコール「上海」なんだなぁ、と・・・上海周辺と、かろうじて沿岸部だけしか出てこないお。2013/04/04