内容説明
離婚成立直前に夫が失踪した。新しい恋人との結婚のため夫を捜しはじめた妃美子は、彼が一軒のパチンコ店に頻繁に出入りしていることを知る。警察との癒着、裏技による不正、景品交換所での強盗殺人事件…業界の暗部に夫の影を垣間見た彼女は深い疑念の渦へと巻き込まれていく。迫真の長編サスペンス。
著者等紹介
渡辺容子[ワタナベヨウコ]
東京都生まれ。東京女学館短期大学卒業。20代前半からジュニア小説家として活躍。その後、大人向けの小説に転身し、’92年、『売る女、脱ぐ女』で第59回小説現代新人賞受賞。’96年、『左手に告げるなかれ』(講談社文庫)で第42回江戸川乱歩賞受賞。著作は『斃れし者に水を』(祥伝社)、『流さるる石のごとく』(集英社)など
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ジンベエ親分
46
裏表紙の「パチンコ業界の闇」なんて文句にパチンコ興味ないし、なんて敬遠するともったいない!てほど面白い。離婚成立寸前に夫が失踪し、次の恋人と結婚するために早く離婚を成立させたい一心で夫を探す妃美子が、追跡するうちに「パチンコ業界の闇」とやらに触れていく。最初は鼻持ちならない高慢な女にしか見えなかった妃美子や部屋に残る夫の体臭を感じただけで吐き気を催すほどの嫌悪感が徐々に変化する様子が読み応えがえる。八木薔子がほんの少し登場するのも嬉しいが、端役1人1人まで丁寧なキャラ付けがされていて長い話も退屈しない。2019/02/10
nonpono
37
江戸川乱歩賞で知った渡辺さん。パチンコがテーマ。周りにはパチンコ好きが多い。わたしは音がだめで長くいれないが、親友は「だんだん音が聞こえなくなる」、元彼は「パチンコは一瞬、一瞬が大事」と鮮やかな言葉で語る愛。ある時代のパチンコ業界がよくわかる小説。1円パチンコなんてゲームみたいのがない4円がど真ん中な時代。パチンコつながりのコミニティー。人はなぜ、はまるか。わたしはギャンブルならG1の競馬派だがパチンコを知れて面白かった。そういえばエバァも先に話題になっていたパチンコから入った。やはり出ると興奮するんだ。2024/12/03
背番号10@せばてん。
20
2001年5月21日読了。あらすじは忘却の彼方。2001/05/21
yuu@mayu
19
『☆☆☆☆.5』現場そのままの臨場感にミステリが合致して一気読み。パチンコを知らないとか興味ない人はちょっと読みにくいかも。2015/01/20
LIAN
5
渡辺容子、やっぱり外れない。パチンコに人生を狂わされる人がいる一方で、ストレス解消などパチンコによって救われている人も多く存在する為、パチンコ産業が今のように盛り上がっているのだろう。一辺倒によしあしを決めることは危険である。 丁寧に練られたミステリの中で、社会の一面を伺い知ることが出来、得した気分(^-^)2010/07/25