内容説明
患者数、病床数、入院日数のすべてが世界一。精神障害者を取り巻く、驚愕の歴史と現状。
目次
第1章 社会から排除される「狂気」(徘徊する浮浪者を排除せよ;文明と裸体の取り締まり ほか)
第2章 「狂気」を監禁する社会(精神障害者管理は家族の責任;相馬事件というお家騒動 ほか)
第3章 法の世界における「狂気」の地位(死刑の光景;江戸時代の刑事裁判 ほか)
第4章 社会から「狂気」を狩り出す精神医学(法律の消滅を夢想する刑法学;刑罰が癒す「悪性」という病 ほか)
第5章 社会と法の世界から排除される「狂気」(「精神衛生法」の制定;精神病院ブームへの公的援助 ほか)
著者等紹介
芹沢一也[セリザワカズヤ]
1968年、東京都に生まれる。慶応義塾大学大学院社会学研究科博士課程を修了。社会学を専攻する傍ら、大正期を中心とする近代日本の思想や文化、社会に研究分野を広げる。京都造形芸術大学で日本文化論、学習院大学で日本政治思想史を教える非常勤講師
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
gtn
15
古くはライシャワー事件、最近では池田小学校事件といった一つの事件が社会をヒステリー現象に陥れ、法制度改正に至る。たった一人の触法精神障害者の振舞により、全障害者の運命が左右されるのが現実と分かる。精神に病を持つ人の人権確立はまだ遠い。2020/03/22
カザリ
12
今年、もっともスリリングな内容の本だった。長沼さんと同じくらい好きな人になりそうだ~!(レビューではない)2015/05/09
イボンヌ
9
日本の精神保健の歴史をまとめた、大切な本でしょう。介護の研修テキストには出てないような、リアルな事実が書かれています。早く普通の病気と同じようになればいい。2017/02/21
kinoko_kinako
9
3.5 逮捕した時、警察と検察が精神障害者だと判断すれば、たとえ殺人であろうと82%が不起訴になり、病院送りだったなんて知らなかった。その後も精神病院の院長が退院の判断をすれば何事もなかったかのように社会にもどるなんて。再犯率はどれくらいなんだろ。2012/07/29
シン
3
勉強になった。多くの人に読んでみてほしい1冊。「いつ退院できるかは、収容された精神病院の性格と、その院長の判断次第だ。たったひとつの判断基準は、「他害のおそれがなくなった」、つまり社会に対して危険がないと認められることである。このような曖昧な基準のもとで、一切の生殺与奪権が、精神病院長という個人の最長にゆだねられているのだ。しかも、合法的に身柄を拘束する権限が、営利組織である民間精神病院に認められている」2006/11/12