内容説明
イエズス会はなぜ非ヨーロッパ世界の布教に成功したのか?彼らが日本やインドなどで採用した適応主義政策とは?布教活動のために貿易や不動産経営で生計をたてる宣教師たち。信者と資産保護のための軍事活動。「神の意志」実現のために世界を巡った「イエスの同志」の聖と俗に迫る。
目次
第1章 キリスト教とインド世界―イエズス会進出の前史
第2章 イエズス会―創立とその組織
第3章 地上の王と神の使者―俗と聖の饗宴
第4章 「情報」の収集・解析とイエズス会
第5章 「異文化」への処方箋
第6章 神の使者たちの「錬金術」
第7章 聖衣をまとった戦士たち
著者等紹介
高橋裕史[タカハシヒロフミ]
1960年北海道生まれ。中央大学大学院文学研究科博士後期課程単位取得。苫小牧駒澤大学国際文化学部助教授。専攻は近世キリスト教史(アジア、日本)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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OKKO (o▽n)v 終活中
10
【修論提出記念読了登録祭り】【わりとナナメ読み】 ナナメ読みしたかぎりでは、けっこう「政治経済」に寄った記述であったとの印象。本書にしか見出せなかった記述として「イエズス会の貿易」に関する具体的数値があったが、それ見てぶっとぶ。あの時期なんであんなに売上が爆発してるんだ? 原資あってこその大規模建築だとは思っていたがドンピシャすぎて。経済=カネについて考えるのが苦手すぎるがここは避けては通れないでしょう。本書ではこれ以上深く追求できないので他の文献に広げましょう2019/01/18
ラウリスタ~
7
イエズス会の収入源などについて、宗教的な話というよりかは、いかに経営していたかという話。宗教でもお金はかかる。とはいえ、公然とはお金儲けはできない。そんななか、正義のためならばと商取引を正当化したり、と生き残るためお金を取り扱うようになる。そして生き残るための武器貿易や長崎の要塞化を進める。別に日本を侵略したかったわけではない、(そもそもそな力はスペインに征服されたポルトガルにはない)日本で殺されたり、追い出されることを恐れただけ。秀吉もそのことを認識していたら、追い出すことはなかったのかも。2012/01/30
たかぴ
4
思っていたより武闘派で経済に強く、地元の権力に入り込んでいく能力が高い人達でした。2023/01/27
Yapuppy
4
西、葡によるペルーやメキシコの征服は16世紀前半に終了した。同じことをアジアでやらかす予定と考えるのが普通で隠す必要がない。日本におけるコレジオは教育機関であると同時に集金機関であり、儲かる施設を作った以上は防衛する必要が生じ、防衛するためには集金しなければいけなくなった。結果だけを見ると諸大名同士の抗争に介入し、難民を海外に流失させ、天下統一の必要性について検討させるに至った。 徳川家康の"イエヤス"を彼等は"Ieyasu"と書いておりイエズス会のラテン語読み"Societas Iesu"と酷似する。2012/12/14
アメヲトコ
3
イエズス会世界征服の野望、みたいな内容を想像していましたが、かなり地道な内容で、お金や軍事といった「必要悪」にイエズス会がどう対処してきたかといった内容が中心。信者が増えれば増えるほどそれを維持するために本来の理想とは乖離したところにも手をつけざるを得なくなるというのは宗教の難しさですね。2015/02/26