感想・レビュー
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ぜっとん
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『王位要求者』『イシス』『処女詩篇』収録。『イシス』はチュリヤ・ファブリヤナという一人の女性の輪郭を只管に書き綴った快作。『イヴ』におけるハダリーの解剖との共鳴は云うに及ばずだが、図書館の描写などを通してはユイスマンの『さかしま』やボルヘスを想起させる。また終盤において『アクセル』のような無垢で強烈な恋愛を予想させるのだが、未完である。『処女詩篇』では、齋藤氏の訳業を通して、日夏耿之介、ひいては李賀の詩語たちがリフレインしてくる。リラダンと李賀がこんな風に出会うのは面白い。2014/01/02