講談社選書メチエ<br> 思想としての孤独―“視線”のパラドクス

講談社選書メチエ
思想としての孤独―“視線”のパラドクス

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  • サイズ B6判/ページ数 284p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784062581721
  • NDC分類 141.6
  • Cコード C0336

内容説明

自主独立の近代人「ロビンソン・クルーソー」の未裔である私たちが彷徨う、「孤島」と「砂漠」が充溢する都市の風景。そこでは「孤独の苦悩」よりも「孤独の不能」こそが問われている。文学的想像力の生んだ“透明人間”“分身”“怪物”を鍵に、現代社会と孤独の本質をあぶりだす。

目次

プロローグ 孤独のフィギュール
第1章 社会的死と孤独
第2章 透明人間の肖像
第3章 分身の肖像
第4章 透明のパラドクス
第5章 怪物としての日常
第6章 分身と社会秩序
第7章 孤独と社会
エピローグ 社会の詩学

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

R As Well

4
社会学的死去よりなお悪いもの、それは社会学的分身である。都市において我々は他者の不在によって孤独に苦しむのではなく、むしろ自分の取り替え=社会的分身となる他者が過剰に存在することによって、自己の単一性・本来性・独自性が揺らぎ、孤独に落ちていく。そして我々は、そこから抜け出すどころか、愛想笑いをする中で、自ら社会学的分身の成員の一人となっていく。自分が「世界に一つだけの花」でないことが孤独を生むというのは珍しい論点ではないように思えるが、これを「不足」ではなく「過剰」と捉えて整理するのは新鮮な驚きがあった。2021/08/28

れどれ

2
孤独という観念の実体をさぐるために、個にまとわりつく雑多な社会的要素を、透明人間や分身といった見方から取り払っていく。現代社会において孤独がどのような問題となっているかはほぼ論じない。それだとゴールができてしまう。孤独は感情であるとし、それは心理学的感情と社会学的感情によると見定め、社会と個を循環させて、論を帰結させず延々と進展させてゆく果てない思考の道筋が実に面白かった。2021/05/23

sk

2
社会的死、透明人間として、社会学的に孤独を論じる。誰もが抱く孤独。孤独とは何だろう、という問いへの一つの答え。2015/12/01

高円寺

2
「孤独」に対して、「社会学的死」「透明人間」「分身」「怪物」といった魅力的な概念を用いてアプローチする文学社会学の試み。「孤独の表象の系譜学」というように、主にフィクションにおいて「孤独」がどのように表象(表現?)されるかを論じています。2015/10/13

しゅうしゅん

1
ひきこもりやニートの自意識としての「透明人間」は社会から疎外され孤独ではあるが安定をしている。 社会の歯車としていくらでも取り替え可能な「分身」は社会に身を置いていても、いつ自分に似た誰かに職や立場を追われて何者でもない状態に追い込まれるかに怯えて不安定になる。 どんな生き方をしようとも人間に悩みは尽きないか。2013/08/17

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