出版社内容情報
鬼才が放つあまりにも前衛すぎる学園小説 カナダからの留学生を受け入れた、とある高校での数ヶ月の出来事――。普通すぎるのに普通じゃない、物語という概念を徹底的に排除した、「主人公のいない小説」
内容説明
カナダからの留学生(でも英語が苦手)を受け入れた、とある高校での数ヵ月―。描かれるのは至ってフツウの学園生活のはずなのに、何かが、ヘン…。“物語”の概念を覆す、本邦初「主人公のいない」青春小説。
著者等紹介
青木淳悟[アオキジュンゴ]
1979年埼玉県出身。早稲田大学卒。在学中の2003年「四十日と四十夜のメルヘン」で第35回新潮新人賞を受賞しデビュー。2005年「クレーターのほとりで」が第18回三島由紀夫賞候補。同年に右記2作を収めた作品集『四十日と四十夜のメルヘン』で第27回野間文芸新人賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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本屋のカガヤの本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
papako
33
Readerにて。何処かで何かで気になって読みたいと思っていたのですが、何だかよくわからないお話。面白くないわけではなかったのですが、淡々としすぎ。主人公がいないといっても、結局担任オサチの視点で書かれている。カナダからの留学生と思ったら、ブラジル系ポルトガル語で大変だけどがんばったという感じでしょうか。。。2014/05/01
てふてふこ
24
カナダから来た留学生をフォローする先生。淡々と高校生活を書き、あれ?と思わせる矛盾に何が起きるのかな、と期待しつつ、そのまま終了。…修学旅行諸々、学校の先生の大変さを教えてくれました。2017/06/26
oz
24
初読。『私のいない高校』は前衛的な記述とそれに相反して、叙情的な学園小説の意趣を保っている。そして無味乾燥な記述の果てに反転して、青春小説の極北となる。日誌形式で飛躍し続ける時間は訳もわからずに繋がり、膨大な固有名詞は学校という現代人にとって一種の実存的体験として共有できるモチーフへの物象的な距離感覚を再起させる仕掛けになっている。この細緻なこだわりが細部という支点となって、記述を持続させ、機械的な業務文書にはない、小説としてすれすれの伝達性を維持している。2012/04/21
なゆ
17
小説を読んだのか記録を読んだのか…漠然とモヤモヤとするのだけど、読後感としては悪くない。脳裏に高校生活のざわめきが浮かぶ。カナダからの留学生を受け入れた高校の、修学旅行や中間テストや日常のことを、主に担任教師が留学生の指導に心を砕くところを中心に描かれている。けれど、日々の記録と所感を読んでいるような…。これを記録した〝私〟とは一体だれなのかあやふやな不安定さ。他の作品はどんな感じなのか気になる。修学旅行が広島~萩~大宰府~長崎となじみのあるところばかりなので、一緒に旅をする気分で楽しめた。2012/05/30
Bartleby
14
この作家の書く小説はまず売れないだろうから、書き続けていけるよう誰かパトロンになってほしい。本作はある高校教師の日誌を元にしている。退屈な日常、しかしカナダから留学生が来てちょっとだけいつもと違う数ヶ月。ただ淡々と事実と凡庸な感想が綴られる。おそらく、元の日誌のほうが読んで面白いだろうと推測される。本作が小説たりえているのは、そんな退屈な日誌を文章として洗練させるというまったく無駄な行為にある。練りに練られた日本語の運動を楽しめなければ、本作は死ぬほど退屈な小説とし見なされるしかない。2023/01/11