内容説明
あなたは、きっとレワニワが好きになる。ティアン、仕事ができるんだかできないんだか微妙な徳永さん、コヒビト、偏頭痛持ちの三浦さん、中年のSEXフレンドあみー、そして、レワニワ。
著者等紹介
伊井直行[イイナオユキ]
1953年、宮崎県延岡市生まれ。83年「草のかんむり」で群像新人文学賞受賞。89年『さして重要でない一日』で野間文芸新人賞受賞。94年、『進化の時計』で平林たい子文学賞受賞。2001年『濁った激流にかかる橋』で読売文学賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Mayu
10
結局下巻まで駆け抜けて読みました。下巻では動きが出て来て、レワニワというあり得ない生き物が生存していて、混沌とした人生が義弟を含めて少し前に進んで、はっきりとした希望でなくても淡い期待感で完結しました。私の好きな映画ランドリーの世界観に似ている本でした。映画になったら、アングラな感じで素敵だと思う。2019/01/13
ショコラテ
7
初作家さん。この小説を60歳近い人が書いたということに、まず驚いた。お父さんのホラ話だと思っていたのに、レワニワが(笑)。なんだかわかったようなわからないような物語で感想が書きにくいな。ティアンの頑なさが理解できず…。お父さんとコヒビトが好き。あみーは生かしといてあげても良かったのに。死ぬために作ったキャラみたいな気がして、可哀想でならない。一番の疑問は分冊にしたことだ。主人公がウダウダ言ってるだけの小説だとも言えるが、読後感は悪くない。でも、心にも残らない。2010/12/03
佐伯りょう
5
「受け入れられないこと」の辛さが淡々と語られた物語だった。「何のために生きているかわからない」アガタは、「お金や地位や女」などの即物的であるが切実な願い事よりも、自分が生きていく意味が知りたいとレワニワに乞う。それは言い換えれば、「君は生きている価値がある。生まれてきた理由がある」と、誰かに全面的に肯定されたいという魂の叫びだ。 追い詰められたアガタにレワニワが教えてくれたことは、「人を真剣に好きになること」「自分で行動することでしか世界は動かない」ということ。2010/12/14
すがやん
5
妄想かファンタジーか。 劇的なことは起こらないけれど、不思議を織り交ぜた淡々とした物語。ちょっと不幸せな、でも、現実的にいくらでもいそうな人達が幸せや生きる意味を求めて足掻いている。少々、現実的すぎて陰鬱になりそうな雰囲気を、“レワニワ”という妖精なのか化け物なのかわからない生き物が、色を添えていて楽しくなる。微妙な距離感のある物語だし、好き嫌いはあるかも・・私は一気に読めました。2009/07/22
猫のゆり
4
初伊井直行でした。ワーキンングプア、引きこもり、ステップファミリー、難民・・と、現代社会らしい背景の中で、描かれているのは結局個人の古典的な悩みなのかなーっと。レワニワと引きこもりの義弟君、コヒビトがよかった。直前に読んだ『1Q84』に(トーンはだいぶ違うけど)ちょっとかぶった。このきっつい現実を生きていくには、愛が不可欠なんだと。2009/06/17