出版社内容情報
★第40回大宅壮一ノンフィクション賞受賞。
内容説明
名アンカーマン、T.コッペルらとの出会い、盟友テリー・クー、沢田教一、一ノ瀬泰造の死。戦争報道に賭けた仲間たちの“戦後”までを物語る。
目次
ボスたち
優しいアメリカ人
長篇作家
コンツム戦線異状なし
クアン・チ奪回作戦
ベトナム寸描(その二)
悲劇
終戦または休戦とカメラマン群像
生き残った者の罪の意識
カンボジアの最後
サイゴン陥落
彼らの意見と回想
その後の仲間たち
著者等紹介
平敷安常[ヒラシキヤスツネ]
1938年、沖縄県那覇市に生まれる。1965年、大阪の毎日放送カメラマンとして初めてベトナムの土を踏む。翌1966年、毎日放送を退社。米ABC放送サイゴン支局のTVカメラマンとなり、以降1975年のサイゴン陥落までの10年間、ベトナム戦争を取材し続ける。その後、ABCの西独・ボン支局などを経て、ニューヨーク本社勤務。ベイルート市民戦争、イラン革命、湾岸戦争、9.11テロ事件などを取材。1993年、米国籍を取得。2006年、ABCを退社。現在、ニューヨーク近郊ニュージャージー在住。ベトナム人の夫人との間に一男一女がある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Willie the Wildcat
21
報道の在り方を改めて考える。『客観性』の難しさ。『(現地の)当事者』からの視点。『(戦闘員や住民、そして同僚の)死』に間近に接する。”報道人”と”人間”の境目。重い十字架だ・・・。印象深いのが、2つの死。テリー、そしてサイゴン陥落後の脱出用バスによる赤ちゃんの死。やりきれなさと理不尽さを感じる。これが戦争の現実。頭でわかっても、割り切れない・・・。唯一の救いは、報道関係者の使命感かな。思想・哲学などの違いを超えた報道への各自の想いや理想が伝わる。戦争・報道への視点が広がった気がする一冊。2013/01/09
takao
3
ふむ2022/08/03
Ted
3
'08年9月刊。○本書の執筆動機が下巻で明らかにされる。枚数は違うものの「死の危機から救ってくれる幸運のジョーカー」を人は生まれながらに持っているというのは、いかにも賭けごと好きな欧米人らしい発想で面白い。ジャーナリストに限ったことではないが、危険な戦場から離任する最終日に限って殉職するケースが決して少なくなかったそうなので、そうした人智を超えた不条理を少しでも納得させながら毎日を過ごさなければならなかった彼らにはピッタリと上手く嵌まる考え方だったのであろうと想像する。2019/11/16
oyasan
2
自分もカメラ好きだが、カメラに命をかけることはできない。彼らはなにを求めていたのか。たくさんのフォトジャーナリストの記録が上下巻を通じて書かれている。そこに一つの真実があるが、カメラを通じて切り取られ1枚の写真、数分の映像。ベトナム戦争とはいったい何だったのか。生きることは何なのか。すごく深い問いがある気がする。2010/10/01
tipsyおじさん
2
危険で悲惨な戦場の様子が淡々と語られ、まるでドキュメンタリー映画を見ているように感じられた。命がけの職場であるが故の上司や同僚、ライバル達との強い繋がりが暗くなりがちな話を救っていた。さすが大宅賞受賞作。とてもよかった。2009/12/12