内容説明
美しい国際化の時代。飛鳥から奈良、わずか100年余。激動の世に火花を燃やす人々!歴史短篇秀作集。
著者等紹介
梓沢要[アズサワカナメ]
1953年、静岡県に生まれる。明治大学文学部に学ぶ。1993年、「喜娘」にて歴史文学賞を受賞し、鮮烈なデビューをはたす
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感想・レビュー
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にゃも
13
奈良朝と唐代を舞台にした短編集。読み始めてまず、その文章の滑らかな美しさに思わず頬が緩んだ。また、丹念に読みこんだのであろう資料の内容がさらりと物語に練りこまれ、それが古に生きた人たちの心の機微を綴った物語にいっそうの奥行きを与えており、まことに重畳至極。そう言えば、この著者の『捨ててこそ、空也』が読んでみたかったんだった。さぞや読みごたえがあるに違いないと、期待で鼻息が荒くなる。 2020/11/03
真理そら
6
唐を舞台にした話は空気が乾燥しているような雰囲気で、日本が舞台の話は草や風のにおいのするような雰囲気で書かれているのに感動した。持統天皇は小説では強弱の差はあってもいつでもこういう描かれ方をするのがおもしろい。最後の「龍になった皇女」は井上皇后親子の話だった。井上皇后親子を廃した原因として伝えられる(のちの桓武)山部との醜聞があるという話を読むたびに、皇后以上に罪深い山部が即位するのは不自然だと思っていたし、最期があまりにも無残なように思っていた。この作品はそのあたりも納得のいく話の進め方が良かった。2017/06/26
星落秋風五丈原
5
不遇に泣きむせぶ人、奔放な恋に生き無残に死んでいった女、権勢の座に昇りつめながら足を踏み外す男。飛島時代から奈良時代にかけての百年、激動の時代に火花を燃やす人々を描く。美しい国際化の時代を舞台とした短編集。◆日輪薨したまひぬ◆迦楼羅のくちばし◆上官婉児◆羽人◆朝靄◆しゑやさらさら◆龍になった皇女 2004/04/08
めぐみこ
4
一話の持統天皇が天智天皇の娘、最終話の光仁天皇が天智天皇の孫。歴史の流れはすごく怒濤な感じがするのに、血縁だけ見れば、たった一世代経っただけ。なんと濃密な百年か。改めて考えれば奈良時代が九十年もなかったことに意外の一念。2013/02/18
Mana
3
橘三千代を読んで再読。橘三千代と被ってるけど、物語としては繋がってはいない?やっぱりこの中では上官婉児が一番。2016/06/30