内容説明
大正社会主義を明確にうちたてた大杉栄の月刊「平民新聞」、第二次「近代思想」は巧妙に弾圧された。大正五年、荷風、慶応義塾辞任。鴎外退官。藤村帰国。上田敏永眠。芥川、久米ら第四次「新思潮」創刊。十七歳の宮本百合子『貧しき人々の群』で登場。次代を担う多くの青年に敬愛された漱石、『明暗』掲載途中絶筆。漱石逝き、鴎外筆を断ち名実ともに明治は終焉。白樺派の大正文壇制覇前夜であった。全二十四巻完結。
目次
月刊『平民新聞』廃刊
平民講演会
仏蘭西文学研究会と神近市子
第二次『近代思想』再刊と廃刊
宮嶋資夫
八木麗子と結婚
処女長篇『坑夫』出版
堺利彦、大杉栄の批評
尾竹紅吉と『番紅花』
富本憲吉と結婚〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
rbyawa
0
k025、最終巻、岩野泡鳴の「文壇的地位の高さ」は正直かなり具体的であり生々しいので聞いたことはなくても信じやすいのだが、白樺が相変わらず仕事をするたびに文壇を制覇するのがなんとも…。一回ならいいんだけど…。新思潮らは着実に積み重ね、というかやっぱりこっちのほうが出世が早いような…? あと、新思潮のレベル全員高いんだよね多分あれ…(中で比べないほうが)。平民新聞の経済、政治的な苦悩、泡鳴の離婚問題など、ゴシップ寄りの記述もなんか堅いよな瀬沼さん。遊蕩文学撲滅論はわかりやすかったが、結局評価低めか…わかる。2020/06/09