出版社内容情報
東野 圭吾[ヒガシノ ケイゴ]
著・文・その他
内容説明
高校時代の初恋の女性と心ならずも別れなければならなかった男は、苦闘の青春を過ごした後、警察官となった。男の前に十年ぶりに現れたのは学生時代ライバルだった男で、奇しくも初恋の女の夫となっていた。刑事と容疑者、幼なじみの二人が宿命の対決を果すとき、余りにも皮肉で感動的な結末が用意される。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Tetchy
633
運命の悪戯、そうとしかいいようのない三人の運命、いや文字通り“宿命”を描いた作品。晃彦、勇作、美佐子のやり場のない感情の行方、交錯する想いが届きそうで届かないもどかしさがどんどん胸に痛切に響いてくる。率直に云えば、この3人の宿命的結び付きは、あまりに出来すぎで過激な演出で繰り広げられるお昼のメロドラマのような陳腐さと紙一重、もしくは同等であると云えよう。晃彦の真意が終章に至ってようやく読者の眼前に明かされるとき、東野氏がマジックを解くのに、指をパチンと鳴らした音が聞こえたような気がした。2010/03/22
Kircheis
533
★★★★☆ 東野作品を読み始めたのが、ちょうどこの本が出た頃だったので思い入れがある。 東野作品の特徴は単純な犯人捜しで終わるのではなく、事件の根底にある別の謎が解明されて読者にカタルシスを味合わせてくれるところにある。 本作はその好例と言える。 個人的には最後の一文は余計だったんじゃないかなと感じたけど。2019/02/02
どんちん
331
なるほど、宿命、運命、糸ね。こうなると、ありえない偶然も全て必然となるわけだから、ちょっとできすぎぢゃねぇ~っていうのも含め、なんでもありってとこね。でもサスペンス的にはこれくらいが丁度いいかもしれない。なるほど、著者いわく、最後の1行は決まっていた というのは、なるほど!納得。これからの二人、ちょっと興味ありです。2012/05/11
takaC
301
宿命の対決。皮肉(でプチ感動的)な結末。おそろしや。2007/05/11
ソルティ
295
25年も前の作品なんですね。時代的違和感ないけど「ポケットベル」が出てきます。さすが東野さん、おもしろい!ミステリーとして良くできてる。心情的に言って和晃より勇作を応援したくなり、美佐子ともヨリが戻ってほしいと思ってしまう。医療的研究の要素もあって、そういう所も好きです。生命や感情を操作しちゃいけない、いつか報いが来る、と思います。「彼女と一緒にいると、勇作はとても穏やかな気分になれた。」「「人生が自分以外の人間に決められるなんてまっぴらだね。僕は自分のやりたいことを、やりたいようにするだけさ。」」2018/10/23