出版社内容情報
東野 圭吾[ヒガシノ ケイゴ]
著・文・その他
内容説明
高校時代の初恋の女性と心ならずも別れなければならなかった男は、苦闘の青春を過ごした後、警察官となった。男の前に十年ぶりに現れたのは学生時代ライバルだった男で、奇しくも初恋の女の夫となっていた。刑事と容疑者、幼なじみの二人が宿命の対決を果すとき、余りにも皮肉で感動的な結末が用意される。
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ぷりん本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Tetchy
662
運命の悪戯、そうとしかいいようのない三人の運命、いや文字通り“宿命”を描いた作品。晃彦、勇作、美佐子のやり場のない感情の行方、交錯する想いが届きそうで届かないもどかしさがどんどん胸に痛切に響いてくる。率直に云えば、この3人の宿命的結び付きは、あまりに出来すぎで過激な演出で繰り広げられるお昼のメロドラマのような陳腐さと紙一重、もしくは同等であると云えよう。晃彦の真意が終章に至ってようやく読者の眼前に明かされるとき、東野氏がマジックを解くのに、指をパチンと鳴らした音が聞こえたような気がした。2010/03/22
Kircheis
560
★★★★☆ 東野作品を読み始めたのが、ちょうどこの本が出た頃だったので思い入れがある。 東野作品の特徴は単純な犯人捜しで終わるのではなく、事件の根底にある別の謎が解明されて読者にカタルシスを味合わせてくれるところにある。 本作はその好例と言える。 個人的には最後の一文は余計だったんじゃないかなと感じたけど。2019/02/02
どんちん
332
なるほど、宿命、運命、糸ね。こうなると、ありえない偶然も全て必然となるわけだから、ちょっとできすぎぢゃねぇ~っていうのも含め、なんでもありってとこね。でもサスペンス的にはこれくらいが丁度いいかもしれない。なるほど、著者いわく、最後の1行は決まっていた というのは、なるほど!納得。これからの二人、ちょっと興味ありです。2012/05/11
ノンケ女医長
308
タイトルの「宿命」は、終盤にようやく出て来る。その意味するところは、想像以上だった。出自を知らされたとき、私なら心は一瞬で崩壊していたと思う。宿命だと受け止め、脳神経外科医となり、人畜非道な人体実験を受けた方々へ贖罪しようと覚悟した瓜生晃彦。血を分けた弟と、心穏やかに過ごせる日が来たらいいな。1990年発刊の作品。東野圭吾は時代の先を鋭敏に察知する。「科学の力で人間を操作するという幻想にとりつかれたわけだよ」(354-5頁)のセリフ。30年が経ち、実際にそうなりつつあります。2023/03/15
takaC
302
宿命の対決。皮肉(でプチ感動的)な結末。おそろしや。2007/05/11