内容説明
「きみはそれでも銀行の頭取か!」時の大蔵大臣・田中角栄は一喝した。すでに山一証券の全国の支店には、一般投資家が殺到していた。運用預り・投資信託の解約累計は6日間で177億円。このままでは、この取り付け同然の騒ぎは他社にも広がってしまう―。戦後最大の“経済危機マネジメント”の詳細を追求した、話題の作品。
目次
プロローグ―忍び寄る信用不安
第1章 矛盾―証券市場の体質(悪循環の構造;山一式経営の弱点)
第2章 苦悩―深刻化する証券不況(動き始めた大蔵省;証取法改正の舞台裏;大蔵省・日銀の対立―「共同証券」めぐる思惑;銀行・証券の確執―「証券保有組合」誕生の内幕)
第3章 危機―山一証券の経営破綻(山一の首悩陣更迭;報道協定と国会対策;赤字は282億円;田中蔵相と高橋銀行局長;日本銀行への打診)
第4章 決断―282億円の日銀特別融資(潜行取材が続く―報道協定のすき間;予想外のシナリオ;証券恐慌の危機;昭和40年5月28日―日銀永川寮のトップ会談)
第5章 回避―危機管理の構図
エピローグ―陽はまたのぼる