内容説明
ポルトガル・リスボン。一人の女性が銃で心臓を撃ち抜き自殺した。彼女の名はアディーノ・シルヴァ。かつてオリンピック女子水泳で金メダルを獲得したスターだった。同日、彼女の家から二キロ離れた自宅でリカルド・コスタ教授が銃で撃たれ死亡する。奇妙なことに二人を貫いた弾丸は同じ銃から発射されたものであり、さらに死亡推定時刻も「同時」であった…。時空を超えた奇跡の弾丸。その軌跡を御手洗潔が追う。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ホームズ
14
御手洗シリーズとして期待して読んでしまうとかなり残念な感じになってしまうと思います。まずミステリではないですから・・・。島田荘司が書きたい物と「御手洗潔シリーズ」のファンが読みたい物が全く違うものになってしまっている感じでした。最近の御手洗シリーズの中でも一番ファンの期待とかけ離れた作品だと思います。2011/01/09
たちばなあやか
12
表題作を含む4編からなる書籍。御手洗さんが、名前だけというか、トリックのヒントになるものだったり、あとは直接、推理したりと、活躍の場は少ない本になっています。「溺れる人魚」に関しては、あぁ、そういうことだったのか〜、というか、人間の怖さのようなものを感じました。「海と毒薬」には、石岡さんが直接的ではないものの、手紙の中の人物として登場しています。男ってズルいよね、というような作品でした。それにしても、御手洗さんの過去。どんな生活を送っていたのかなぁと思い返す作品となりました。2021/11/23
いくっち@読書リハビリ中
7
わくわくする御手洗シリーズのはずなんですが・・・ 人魚にまつわる連作短編ですね。「御手洗潔が隠された史実の謎に挑む! 」とあるんですが、これはここ何年かの著者のテーマですよね。読むものほとんどがそう。トリックそのものよりも、著者の語るウンチクに読者が付き合うという感じ。一番残念なのは、御手洗が自身の口で語っていないことです。今まで追いかけてきたファンならばこれくらい付き合ってあげるのは大したことないですよ。2009/08/07
Chili
4
結構、難解な話が続く。最後の『海と毒薬』が一番良かった。他作は、スケールが大きすぎてちょっと現実感が薄く感じた。2025/02/03
きりを
4
御手洗シリーズ。といえば御手洗。ようやく新しいこのシリーズの形が見えたのかなという気もしつつ。まぁ、どちらかといえばシリーズよりも島田センセイらしいというか(笑)作家の興味を分かりやすく反映しているあたりが、近年の作風としては相変わらずというか。ただ、ミステリーという枠組みとしては相変わらず逸脱だよね(笑)まぁ、今更戻れないんだろうな…。2010/07/05